2 アフリカ開発会議(TICAD)プロセス (1)これまでの経緯 日本の対アフリカ外交は、TICADを重要な柱としている。90年代前半、冷戦終結に伴い国際社会のアフリカへの関心が低下した際に、アフリカ問題の重要性を改めて喚起することを目的として日本が主導し、1993年に第1回会議を東京で開催した。TICADは、日本が国連、国連開発計画(UNDP)、世界銀行及びアフリカ連合委員会(AUC)との間で共催する「国際フォーラム」であり、アフリカによる「オーナーシップ」の発揮の重要性と国際社会との「パートナーシップ」の必要性を提唱している。 TICADプロセスでは、首脳級会議を5年に1度日本で開催してきており、2013年3月、TICAD Vに向けた準備プロセスの集大成として、全アフリカ諸国の閣僚がアディスアベバ(エチオピア)に集まり、TICAD Vで打ち出す成果について議論し、6月のTICADプロセス20周年となる第5回目の首脳会議(TICAD V)に備えることになる。 (2)第4回アフリカ開発会議(TICAD W)の公約実現に向けた取組 日本は、TICAD Wにおける公約の実現のため、2012年も引き続き積極的に取り組んだ。日本がTICAD Wで掲げた対アフリカODA倍増や対アフリカ民間投資倍増は、目標を上回る水準となって達成されている。8月には、加藤外務大臣政務官が日本とアフリカとの間の貿易・投資促進を目的とするアフリカ貿易・投資官民合同ミッションの団長として、コンゴ(民)、ジンバブエを訪問した。その後、訪問国の政府、企業関係者との意見交換や視察などを行い、二国間経済関係の強化を図った。 (3)第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合 5月には、マラケシュ(モロッコ)で第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、78か国(注:アフリカから49か国・34人の閣僚級首席代表が参加)、31の地域・国際機関、NGO団体、民間企業など計約470人が参加した。 同会合では、TICAD Xに向けた準備プロセスの出発点として、TICAD Wで採択された横浜行動計画が順調に実施されていることを確認するとともに、 TICAD Xで重点を置くべき課題について議論を行った。参加者からは、日本が震災があったにもかかわらず、TICAD Wの公約を誠実に実施していることへの賞賛が寄せられた。 (4)第5回アフリカ開発会議(TICAD X)高級実務者会合 11月には、ワガドゥグー(ブルキナファソ)において、TICAD X高級実務者会合を開催した。本会合は、ブルキナファソ政府が主催の上、日本、AUC、国連、UNDP、世界銀行が共催し、アフリカ諸国から46の国のほか、他地域機関、国際機関、NGOなどからの参加者を含む計約300人が参加した。 本会合では、日本側から、現在のTICAD Xに向けた準備状況を説明するとともに、現在、アフリカが抱える様々な課題を踏まえ、TICAD Vが重点を置くべき分野についてアフリカ諸国の参加者を始めとする参加者との間で議論を深めた。 (5)TICAD Xに向けて 2013年6月に開催されるTICAD Xでは、「躍動のアフリカと手を携えて−質の高い成長を目指して−」を基本メッセージとして、「強固で持続可能な経済」、「包摂的で強靱な社会」及び「平和と安定」という相互に密接に関連する3つのテーマに基づいて、アフリカ開発への取組を議論し、日本とアフリカの互恵関係を更に強化していく考えである。 第4回TICAD閣僚級フォローアップ会合の様子(5月5日、モロッコ・マラケシュ) アフリカ開発の国際的枠組み 日本の対アフリカODA倍増 対アフリカ民間投資倍増支援