2 中東和平 (1)イスラエルとパレスチナとの間の直接交渉をめぐる動き 2010年9月以降2013年2月現在に至るまで、イスラエルとパレスチナとの間の和平交渉は中断したままである。2012年1月には、ヨルダン政府及びカルテット(米国、ロシア、EU、国連)の仲介により双方の交渉担当者が5度にわたって会合を持ち、また、4月にはネタニヤフ・イスラエル首相とアッバース・パレスチナ自治政府大統領との間で和平プロセス再開に関する書簡のやり取りが行われたが、結局、交渉再開には至らなかった。カルテットも有効な打開策を講じることができず、和平プロセスは手詰まりの状態が続いている。 こうした中、11月末にパレスチナに「非加盟国オブザーバーの地位」を付与する国連総会決議案が国連総会に提出され、多数の賛成(賛成138票、棄権41票、反対9票)を得て採択された。これに対し、イスラエル側は、パレスチナ側の行動を一方的行為として非難し、大規模な入植地建設計画の承認やパレスチナへの税還付凍結などの報復措置を実施している。 (2)中東和平に関する日本の取組 日本は、国際社会と連携しながら独自の役割を模索しており、@政治的働きかけ、A対パレスチナ支援及びB信頼醸成の3本柱を軸に和平実現に向けて取り組んでいる。 対パレスチナ支援については和平プロセス進展を促進するとともに、パレスチナ人の民生を安定させ、将来のパレスチナ国家実現を支援するとの観点から、「人道支援」、「国造り・改革支援」、「信頼醸成支援」、「経済自立化支援」を重点分野として積極的に支援を展開している。日本からの支援額は、1993年度以降、米国、EUに次ぎ、13億米ドルに達している。 さらに、飯村豊中東和平担当特使(政府代表)がイスラエルやパレスチナを始めとする中東和平関係国・地域を訪問し、各国要人と会談を重ね、中東和平実現に向けた働きかけを継続している。 パレスチナに「非加盟国オブザーバーの地位」を付与する国連総会決議については、日本は「二国家解決」を通じた中東和平の実現を支持する立場から賛成票を投じた。一方で、パレスチナ側に対しては、直ちにイスラエルとの直接交渉を再開させるとともに、交渉再開に否定的な影響をもたらす可能性のある国際機関への新規加入などについて慎重に対応するよう求めた。