2 カナダ (1)日・カナダ関係(日・カナダ経済関係を含む。) 首脳間では、2012年3月に日本政府の招待によりハーパー首相が主要官僚と共に訪日し、野田総理大臣との間で首脳会談を行った。その際、日・カナダEPA交渉の開始、日・カナダACSA交渉の促進などで一致するとともに、青少年交流及び科学技術協力などを含む「日加共同成果」を発表した。また、9月にはAPEC首脳会議の際に、首脳間で懇談し、野田総理大臣から、東日本大震災に伴う洋上漂流物に対する見舞金として約100万カナダドルを供与することを決定したと伝達した。 また、2012年7月に実施されたアフガニスタンに関する東京会合の際に、2011年8月の第1回日・カナダ次官級「2+2」対話での合意に基づき、アフガニスタンに対する麻薬対策支援のため、国連薬物犯罪事務所に対し、日本政府は約346万米ドル、カナダ政府が350万カナダドルをそれぞれ供与することを発表した。 政府間の対話としては、4月に日・カナダ政務・防衛当局間(PM)協議が実施されたほか、同月には第10回日加安全保障シンポジウムも開催された。 経済分野では、2月に第4回日・カナダ貿易投資対話、7月に第25回日・カナダ次官級経済協議が開催され、二国間経済関係、両国の貿易政策、資源とエネルギー分野などについて幅広い意見交換を行うとともに、二国間における貿易・投資の更なる促進に向けた取組について議論を行った。また、11月にはEPA交渉の第1回会合が開催された。 日米桜寄贈百周年 2012年は、日本が米国に桜を寄贈してから100周年に当たる年でした。1912年、タフト大統領夫人や尾崎行雄東京市長らの尽力の末、約3,000本もの桜の木が首都ワシントンに植樹され、それから1世紀にわたり日米友好親善の象徴として毎年咲き誇っています。開花の時期には毎年数多くの行事が催され、ポトマック河畔の桜を見るため、米国内外から多くの人が訪問しています。桜寄贈100周年の機会を捉え、2012年は日米友好関係を確認し、一層深めていくため、民間企業からも多大な支援を得て、大規模な周年事業が行われました。 本事業では様々なイベントが米国各地で開催されました。ワシントンでは3月下旬から5週間にわたり盛大な全米桜祭りが行われ、延べ約150万人が来場しました。MISIAさんや東儀秀樹さんが出演した開会式やAKB48のワシントン公演など、日本を代表するアーティストのパフォーマンスも行われました。 また、全米桜祭りの名誉議長を務めるオバマ大統領夫人の出席を得て、3月末に桜寄贈100周年を記念した植樹式典が行われました。その前後で、全米の36都市にわたり、桜の木の植樹式が挙行されました。 また、東京でも、日米桜フェスティバルが開催されました。玄葉外務大臣とトン在日米国大使館首席公使から挨拶がなされたほか、航空自衛隊の航空中央音楽隊と米国空軍太平洋音楽隊−アジアによる演奏も行われました。 2012年は、日米友好関係において、まさに100年に1度の歴史的節目になりました。ワシントンでは、100年前の桜の寄贈を実現した先人への感謝を新たにしながら、次の100年の友好に向けて、日本大使館、全米桜祭り協会などの関係団体が協力し、毎春の桜祭りに取り組んでいます。 日米間の文化・人的交流を通じた日米両国民の相互理解は日米同盟の基盤となるものです。両国国民が過去の日米交流の歴史を振り返り、日米関係の重要性を再認識するとともに、これからの日米同盟の在り方を考える機会を提供するこのような事業も、日本にとって重要な外交政策です。 米国首都ワシントンのポトマック川に隣接し、日本から寄贈された桜並木で知られるタイダル・ベイスン(写真提供:全米桜祭り協会) 在日米軍経験者同窓会による植樹式(ワシントン) (2)カナダ情勢 2011年5月の下院総選挙において保守党が議席の過半数を獲得した結果、ハーパー首相は2012年も安定した政権運営を行った。 外交面では、アフガニスタン支援、米国・米州などの伝統的友好国・地域との関係強化、FTAなどの経済外交の重視を引き続き基本方針として追求するとともに、ハーパー首相は、中国、タイ、韓国、インド、フィリピン、香港などのアジア諸国を訪問するなど、対アジア外交を積極的に展開した。アフガニスタン支援については、2012年7月のアフガニスタンに関する東京会合の際に、2017年までのカナダ政府のアフガニスタン支援策(2014年から2017年までの間の2.27億カナダドルの開発支援の実施)を発表した。 経済外交では、雇用創出・市場多角化や経済成長に資するアジア太平洋地域への輸出増大を重視している。2011年11月、ハーパー首相は、TPP協定交渉への関心を表明していたが、2012年12月からTPP協定交渉(第15回全体会合)に参加した。 カナダ経済は、住宅建設や輸送機器などの製造業、医療関連、金融保険、卸売り、小売業などのサービス業が好調であったが、実質GDPは前年比1.8%増と前年の2.6%増から減少した。また、カナダ銀行は、政策金利を2010年9月に1%まで引き上げ、以後、2年以上据え置いている。失業率は、2011年以後、7%台を維持しており、雇用は引き続き回復傾向にある。