第4節 日本への理解と信頼の促進に向けた取組 総論 近年の情報技術の飛躍的な発達や民主主義の発展に伴い、世論が外交政策に与える影響力はますます高まっている。そのため、外交政策を効果的に実施するためには、各国政府のみならず、各国の国民への直接の情報発信や交流の促進を通じて、日本への関心や親近感を高め、良好な対日イメージの形成に努めることが不可欠である。 このような観点から、外務省は、世論形成に影響力を持つ有識者層を対象とした外交政策等の発信、伝統文化やポップカルチャーを含む多様な日本文化の紹介、国際交流基金を通じた海外での日本語普及などを行っている。さらに、2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」実現のため、関係省庁や諸機関と連携を図り、在外公館(海外における日本の大使館・総領事館等)などを活用し、クールジャパン戦略の推進、観光立国の推進といった分野で、日本の強みや地方の魅力を積極的に諸外国へ発信している。 2011年3月の東日本大震災発生直後から、外務省は、海外に正確な情報を伝え、震災後の日本に対する誤解を防ぐため、外国メディアに対する説明、プレスリリースの発出や、相手国政府関係者、有識者や企業関係者等への説明・働きかけに積極的に取り組み、実際の日本の状況を目で見て理解してもらうため、関係者の招へいを行った。ホームページやソーシャルメディア等、ICT(情報通信技術)を活用した発信も強化し、海外からの支援に対する謝意を表明してきた。また、日本産品を含め、日本ブランドの信頼性回復・強化を図るため、関係省庁や地方自治体、企業とも連携しながら日本産品等のPR、観光展等への出展、復興写真展も実施した。 国際世論への影響が強い海外のオピニオン・リーダーや、ジャーナリスト、一定の指導的立場に就いている者、又は将来活躍が期待される人々に対日理解を深めてもらうために、日本に招へいすることに加え、日本の有識者による発信を強化するため、日本人有識者の各種国際会議への参加も支援している。さらに各国との間における外交上の節目となる年に、「周年事業」を展開しており、2011年にはドイツ、クウェート及びバルト3国との間で集中的な交流事業を実施した。開発途上国に対しては文化無償資金協力の実施や、国連教育科学文化機関(UNESCO・ユネスコ)などの国際機関との協力を通じ、文化遺産の保存・修繕や専門家の人材育成等、文化面での国際貢献に努めている。