第7節 サブサハラ・アフリカ 総論 近年アフリカは、先進国に比べ高い経済成長率を実現しており、また、多くの紛争が終結しつつある。住民投票を経て、アフリカで54番目の国として7月9日に南スーダンが独立したことは、アフリカにおける平和と民主化の更なる進展を印象付けた。その一方で、依然としてソマリアなどにおいて紛争が継続しており、干ばつ、貧困や感染症に苦しむ人も今なお多い。 こうした中、@アフリカが直面する諸課題の解決に真摯に取り組むことは国際社会の責任ある国としての当然の責務であるとともに、国際社会からの信頼獲得につながること、A豊富な天然資源や増加する人口を有しており、高い経済成長を続ける潜在的な大市場であるアフリカとの経済関係の強化が求められていること、B安保理改革や気候変動など地球規模の課題の取組を進めるに当たり、アフリカ各国の協力が不可欠であること等の理由から、日本外交にとってのアフリカの重要性は一層増している。 2011年も、日本は、東日本大震災を契機に再確認されたアフリカとの連帯を大切にしつつ、@平和と安定への貢献、A開発支援と貿易投資の拡大、及びB地球規模の課題への対応を基軸とし、引き続き積極的な対アフリカ政策を推進した。 アフリカの平和と安定に向けては、スーダン、ソマリアといった紛争地域における平和の定着に向けた様々な協力を進めた。新たに独立した南スーダンについては、その国づくりを支援するため、国連PKO(南スーダン共和国ミッション)(UNMISS)へ、自衛隊の部隊などを派遣することを決定した。また、ニジェール、コンゴ民主共和国、リベリア等における民主化移行を支援するため、選挙支援や選挙監視を行った。さらに、アフリカ自身の平和維持能力向上に貢献すべく、PKO訓練センター支援を継続した。 開発支援と貿易投資の分野では、震災後の5月に松本外務大臣が共同議長を務め、第3回アフリカ開発会議(TICAD)閣僚級フォローアップ会合をセネガルで開催した。同会合では、2008年のTICADWの公約である@2012年までのアフリカ向けODA倍増、A民間投資倍増支援等について、日本は引き続き誠実に実施していくとの決意を改めて表明した。また、9月の国連総会において、野田総理大臣は2013年に日本で第5回アフリカ開発会議(TICADX)を開催することを表明した。10月には、アフリカ貿易・投資促進官民合同ミッションをスーダン、南スーダン及びケニアに派遣するなど、官民連携を通じたビジネス促進に取り組んでいる。 アフリカの潜在的経済力と日・アフリカ経済関係