第4章 第3節 3.日本社会の国際化への対応 (1)査証(ビザ) 外務省は、政府による規制改革や観光立国への取組を踏まえ、査証発給の円滑化に努めている(標準処理期間の制定、旅行代理店を通じた代理申請受理等)。また、問題の少ない国・地域については、観光や商用のための査証を免除しており、現在、その対象となるのは63の国・地域に上っている。 中国に対しては、2000年から団体観光客向け査証を発給しているが、2009年7月からは、一部の在外公館において、一定の経済力のある個人向けにも査証を発給している。その一方で、日本との経済格差を背景に、不法就労を試みる外国人は後を絶たない。また、国内でも低賃金労働や性的搾取(さくしゅ)など、外国人に対する人権侵害事例が見られるため、悪用事例の多い査証申請(研修・技能実習、興行等)については一層厳格な審査を行っている。これに伴い、査証事務量は増加し、特に中国に所在する在外公館の事務は逼迫しているため、人員の増強や査証審査システムの更新にも努めている。 査証発給件数の推移 (2)外国人受入れをめぐる取組 日本に長期滞在する外国人の数(外国人登録者)は、2008年末で約221万人、総人口の約1.74%に達しており、外国人が多数居住する自治体を中心に、文化、習慣及び言語の違いによる地域社会との摩擦などの問題が生じている。また、2008年秋からの世界的な景気後退により、不安定な雇用環境に置かれている外国人の相当数が失職するという問題が発生したことから、政府は、定住外国人の教育、雇用及び住居などの問題への対応策として、2009年1月に「定住外国人支援に関する当面の対策について」を、4月に「定住外国人支援に関する対策の推進について」を策定した。外務省では、外国人受入れや社会統合に関する海外の先進事例を紹介し、国民的議論を促進するために、2005年から2009年までに、計5回にわたり国際シンポジウムを開催した。2月に開催したシンポジウムでは、国内外の有識者から、長期的視野にたった外国人の受入れの在り方や社会統合の在り方が議論された。 外国人入国者数の推移 外国人登録者数の推移