第4章 国民とともにある外交 第1節 外交実施体制の強化と日本人の活躍 【総論】 日本がその国益を確保し、国際社会の様々な課題に的確に対応するには、限られた人的・物的資源を最大限に活用できる外交実施体制を整えておく必要がある。そのためには、国際社会で活躍する様々な外交プレーヤーと十分連携し、オール・ジャパンでの機動的な外交を進めることが重要である。 例えば、国際協力に対する市民の関心の高まりから国際協力の担い手としての重要性が高まっているNGOとの連携を強化することは効果的である。日本のNGOは、アジアを中心にアフリカ、中東、中南米など世界各地において、地域住民に密着したきめの細かい支援活動を実施している。また、開発途上国住民の現状等に関する高い知見を背景に、人権、教育、保健、環境等、専門分野ごとにネットワークを形成し政策提言を行うなど、その活動範囲は幅広い。外務省は、このようなNGOの役割を重視し、NGOを重要なパートナーと位置付けている。 また、青年海外協力隊(JOCV)・シニア海外ボランティア(SV)参加者も現地の人々と同じ目線で、その国が抱える問題の解決に一緒に汗を流して取り組んでおり、国際協力の重要な担い手である。日本の「顔の見える援助」の代表として各国から高い評価を得ており、その国の経済・社会の発展のみならず、日本と各開発途上国の相互理解や友好親善の促進にも大きな役割を果たしている。また、帰国したボランティア参加者の知識や経験の日本社会への還元にも期待が寄せられている。