第2章 第7節 サブサハラ・アフリカ 【総論】 アフリカは、近年、飛躍的な経済成長を遂げ「希望の大陸」として国際社会の関心を集めてきたが、2009年は、世界経済・金融危機の影響により成長が減速し、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成がますます困難となることが懸念された。また、一部地域において平和と安定に向けた肯定的な動きが見られる反面、ソマリア、スーダン(ダルフール)での和平については依然として実質的な進展が見られなかった。さらに、一部の国では憲法手続に反した政権交代が行われるなど、憂慮される事態も生じた。 このような中で、日本は、2008年に開催した第4回アフリカ開発会議(TICADW)に続き、2009年3月にボツワナにおいて、第1回TICAD閣僚級フォローアップ会合を開催し、2012年までの対アフリカODAを倍増するなどのTICADWの公約を確実に実行することを表明するとともに、国際社会に対してアフリカへの支援強化を呼びかけた。 4月のG20ロンドン・サミット(於:英国)や7月の第35回G8ラクイラ・サミット(於:イタリア)においてもこの問題が取り上げられ、アフリカが世界経済・金融危機の影響を克服できるよう国際社会として一層の支援を行うことの必要性が確認された。 TICADWの公約を確実に実行するとの方針は、9月の新政権誕生後も堅持され、鳩山総理大臣は、9月の国連総会において、TICADプロセスを継続・強化するとの考えを表明した。さらに、岡田外務大臣は、10月の在京アフリカ外交団との会合において、新政権下の対アフリカ外交の基本方針として、(1)開発・成長に対する支援については、2012年までのODA倍増、民間投資倍増支援などのTICADWの公約を必ず実行すること、(2)平和と安定に対する貢献については、紛争の解決、PKOを含む平和の定着のためにこれまで以上の貢献を行う考えであることを表明した。 要人往来も活発に行われ、日本からは、3月に中曽根外務大臣がボツワナを訪問したほか、1月には小泉特派大使(元総理大臣)がガーナを、3月には福田特派大使(前総理大臣)がウガンダ、ボツワナ、ケニアを、5月には森特派大使(元総理大臣)が南アフリカ共和国をそれぞれ訪問した。また、日本は、3月に、ジブチに海上自衛隊の活動を支援するための連絡事務所を設置するとともに、12月にモーリタニア、2010年1月にはベナンとルワンダに大使館を開設し、アフリカとの外交関係の基盤を強化した。 第1回アフリカ開発会議(TICAD)閣僚級フォローアップ会合で演説する中曽根外務大臣(3月21日、ボツワナ) アフリカの潜在的経済力と日・アフリカ経済関係