第2章 第5節 2.中央アジア諸国 2009年、中央アジアにおいては、7月にキルギスで行われた大統領選挙の結果、バキーエフ大統領が再選され、また、12月にウズベキスタンで議会(下院)選挙が行われたが、地域全体として大きな政治的変動はなかった。 中央アジアは、その豊富なエネルギー資源及び地政学的重要性、特にアフガニスタンとの隣接関係もあり、引き続き国際社会の大きな関心を集めている。キルギスには、以前から米露両国軍が同国内の基地に駐留していたが、2月にバキーエフ・キルギス大統領が米軍駐留期限終了の決定を表明し、アフガニスタンにおける反テロ作戦との関連でその帰趨(すう)が注目されていた。その後、米・キルギス両国の交渉の結果、6月には、中継センターとして実質的な米軍駐留継続が決定された。また、ウズベキスタンでは、同国の人権状況を非難するEUにより課されてきた制裁がすべて解除される等欧米との関係改善が進められた。12月にはトルクメニスタンで、同国産の天然ガスをウズベキスタン、カザフスタンを経由して中国に輸送するパイプラインの開通式が行われた。 日本との関係においては、2009年2月に、日本と中央アジア諸国(5か国)との間の対話と協力の枠組みである「中央アジア+日本」対話の枠内で、環境をテーマとして日本と中央アジアの有識者による第3回東京対話を開催し、特に土壌と気候変動問題に関する協力について提言がまとめられた。 2009年12月には、トルクメニスタンの国家元首として初めてベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領が日本を公式訪問し、鳩山総理大臣との会談が行われ、両首脳により共同声明が署名された。同大統領の訪日は、天然ガスが豊富で世界のエネルギー安全保障の観点から注目が高まっている同国との間で、今後、政治・経済分野を含めた二国間関係全体を更に発展させる上で重要な契機となった。また、2008年に署名された日本・カザフスタン租税条約及び日本・ウズベキスタン投資協定は、それぞれ12月と9月に国内諸手続を終えて発効し、今後の日本とこれら諸国との経済関係を更に強化するための基盤となることが期待される。 ベルディムハメドフ・トルクメニスタン大統領との首脳会談に臨む鳩山総理大臣(右) (12月16日、東京 写真提供:内閣広報室)