2. 欧州地域機関との協力(EU、NATO、その他) (1)EUとの協力  日・EUは様々な分野で幅広いレベルでの政治対話を進めてきている。1月に安倍総理大臣がベルギーを訪問し、バローゾ欧州委員会委員長と会談したほか、6月にはドイツで第16回日・EU定期首脳協議が開催され、安倍総理大臣とメルケル・ドイツ(2007年前半のEU議長国)首相及びバローゾ欧州委員会委員長らが出席した。同協議では、基本的価値を共有し国際社会の諸課題に主導的役割を果たす日・EU間の戦略的パートナーシップの更なる強化につき一致するとともに、イノベーションの促進に関する協力の強化及び第三国における模倣品・海賊版対策、特許の改善等に関する協力強化を確認した。また、気候変動に関して、実効性のある将来の国際的枠組みの実現に向けた協力を促進することについて一致した。 ■写真■ 第16回日・EU定期首脳協議に出席し、メルケル・ドイツ首相(中央)、バローゾ欧州委員会委員長(右)と共同記者会見を行う安倍総理大臣(左)(6月5日、ドイツ・ベルリン 写真提供:内閣広報室) (2)北大西洋条約機構(NATO)との協力  近年、日本が国際社会の平和と安定に向けた活動を強化してきている一方、NATOは、冷戦後、欧州・大西洋地域を越えた作戦地域での治安支援と安定化のため不可欠な役割を担ってきている。1月の安倍総理大臣のNATO本部訪問では、日本とNATOは「責任・信頼・能力」を分かち合うパートナーであり、日・NATO協力の実施の新たな段階へ移行するため行動する用意がある旨のスピーチを行った。この1年、日・NATO間では、様々なレベルでの政策対話や、平和構築、復興支援、災害援助等の分野での知見と経験の共有等、関係強化が急速に進んだ。特にアフガニスタン復興支援に関しては、3月、NATOの地方復興チーム(PRT)と連携しつつ、初等教育、職業訓練、医療・衛生の分野での活動を実施するNGO、地方行政機関に対して、日本が草の根・人間の安全保障無償資金協力を通じ支援する枠組みを構築した。この枠組みの下で、着実に案件が具体化されてきている。また、同枠組みの円滑な運用を目指して、12月のデ・ホープ・スケッフェルNATO事務総長の訪日の際、福田総理大臣、高村外務大臣との会談の中で、NATO文民代表部への連絡調整員として在アフガニスタン日本大使館員1名を指名した旨伝え、同調整員の業務が円滑に進むよう事務総長の協力を要請した。さらに、同事務総長は福田総理大臣との間で共同記者発表を発出し、その中で、政策対話と、平和構築、復興支援、災害援助等の分野における知見の共有の更なる強化を通じ、日・NATO協力を更に進展させていくことで一致した。 ■写真■ デ・ホープ・スケッフェルNATO事務総長(左)との会談に臨む高村外務大臣(右)(12月13日、東京) (3)その他の地域機関との協力  欧州安全保障協力機構(OSCE)は、北米、欧州、中央アジアの56か国が加盟する世界最大の地域安全保障機構である。OSCEとの関係強化は、安全保障の脅威が多様化し、また拡散する中で、日本が国際社会において積極的な役割を果たすとともに、日本の安全保障分野への欧州諸国の支持と理解を確保していくために重要である。11月マドリードにて開催された外相理事会では小野寺五典外務副大臣が出席し、日・OSCE間協力を更に進めること及び東アジアの安全保障環境への欧州の理解を訴えた。さらに、ド・ブリシャンボー事務総長との会談では、日本とOSCEが人権・民主主義の促進等に関する協力や「人間の安全保障」の促進に関する連携を継続していくことで一致した。  欧州評議会(CE)は、民主主義、人権、法の支配の3つの価値の保護・促進にかかわる活動を促進する欧州最大の地域国際機関であり、東欧や中央アジア・コーカサス諸国等で民主化支援事業を実施している。 2007年、日本は、アジアで唯一のオブザーバー国として様々な会合に積極的に参加したほか、ウクライナの民主化を支えるNGO育成支援を目的としたウクライナ政治研究スクールを財政的に援助した。 ■図表■ 欧州の主要枠組み ■トピックス■ 天皇皇后両陛下のスウェーデン、エストニア、ラトビア、リトアニア及び英国御訪問  天皇皇后両陛下は、5月21日〜30日、スウェーデン、エストニア、ラトビア、リトアニア及び英国を御訪問になった。スウェーデン及び英国においては、生物分類法の創始者として有名な生物学者であるリンネの生誕300年記念行事に御出席になるとともに、各国王室及び国民より温かい歓迎をお受けになった。また、エストニア、ラトビア及びリトアニアについては、初めての御訪問であり、各国大統領より心温まる歓迎をお受けになるとともに、各国国民と親しくお会いになり、心を通わせる多くの機会を得られた。