第2章 地域別に見た外交


(10)フィリピン

 アロヨ政権は、財政改革推進の結果、2005年には5.1%の成長率を達成した。2月のクーデター未遂騒動は、アロヨ大統領による非常事態宣言の発出により事態が収拾され、8月に野党勢力が下院に提出した弾劾請求は、その後却下されるなど、大統領退陣要求は沈静化傾向にある。アロヨ政権は、反政府勢力のうち、モロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で、マレーシアや日本の支援を背景に和平を推進した。同大統領は、7月の施政方針演説において、憲法改正による議院内閣制導入への意欲を再表明したが、改正の内容及び手続きを巡って、上下院の立場は対立している。

 12月にセブ島で予定されていたEASは直前に延期となり、2007年1月に開催された。日本との関係では、国交正常化50周年を迎え、活発な要人往来が行われた。日本からは、安倍総理大臣(12月)、麻生外務大臣(7月、12月)、塩崎外務副大臣(1月)がフィリピンを訪れ、フィリピンからはロムロ外務長官(4月)が外務省賓客として訪日した。また、9月にはフィンランドにおけるASEM首脳会合の際に、小泉総理大臣がアロヨ大統領との間で日・フィリピン経済連携協定に署名した。




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