経済連携協定とは?  特定の国・地域の間で、関税等を撤廃し、モノやサービスの貿易の自由化を図ることを目的とした協定を自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)といいます。また、現在日本が取り組んでいる経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)は、自由貿易協定の内容を基礎としながら、投資や、例えば看護師や介護労働者といったヒトの移動を促進させたり、政府調達※1 、競争政策※2 、知的財産などの分野でのルールづくり、さらには様々な分野での協力を通じて、各種経済制度の調和等を図るなど、より幅広い対象分野について経済関係の強化を図ることを目的とした協定です。  では、EPAを締結することにより、どのような効果が得られるのでしょうか。日・メキシコEPAを例にとって考えてみます。  メキシコとEPAを締結するメリットは、大きく分けて次の3つがあります。1)メキシコは、世界第10位のGDP(ASEAN10か国と同規模)を有する重要な貿易・投資相手国ですが、日・メキシコEPAを通じて、双方の輸出入の総額の約96%が無税となることにより、こうしたメキシコ市場へのアクセスが拡大します。2)米国、カナダ、中南米諸国等と積極的にFTAを結んでいるメキシコとFTAを結ぶことにより、メキシコが南北アメリカ市場への進出拠点(ゲートウェイ)となります。3)メキシコと既にFTAを締結している米国、EUに比べて、日本の産業界は相対的に不利益を被っており、その不利益が解消されます。  このように、EPAは双方の国内に大きなメリットをもたらす一方、双方の既存の産業構造や規制の枠組の変更・変革を求めて市場開放を迫る性質のものであることから、交渉を通じて合意に到達するためには、時としてそれに伴う痛みが生じることがあることも事実です。EPA交渉を進めていく上では、構造改革を通じてこうした困難を乗り越え、将来の成長に結びつけていくことが大切になります。 ※1 政府調達とは、政府機関が購入、借入等の方法を通じて物品やサービスの調達を行うことを意味する。メキシコの政府調達市場においては、メキシコ及びメキシコとのFTA締結国の企業しか入札できない案件が存在するなど、入札制度上、日本企業は競争上の不利益を被っていたところ、こうした不利益の解消が求められていた。 ※2 競争政策とは、企業間の公正で自由な競争を促進する政策を意味する。経済連携協定においては、相手国との間で、貿易・投資の障壁となる反競争的行為(輸入カルテル、不当な排他的取引慣行等)を効果的に規制するために協力していくことが重要な課題となっている。