どうして常任理事国入りを目指すの? 国連の安全保障理事会(安保理)は、今日の国際社会において唯一の普遍的な組織である国連の中で、国際の平和と安全の維持について主要な責任を有しています。特に安保理は、国連憲章において、国連加盟国を代表して行動し、また、国連加盟国は安保理の下す決定を受諾し、これを履行する義務を負うとされています。その意味で、安保理の権限は他の国際機関とは比類のない重要性を持っています。 日本の常任理事国入りについて、1)日本の視点と2)国際社会からの視点に分けて考えてみます。  1)日本の視点  安保理においては、中東、イラク、アフガニスタンやアフリカ情勢など、日本がこれまでも積極的に関与してきている問題について、常日頃から議論されています。しかし、安保理の理事国である15か国以外の国々は、その会合のやりとりの内容を知るためには、会合が終わってから会合に出席していた理事国から概要を説明してもらうしか手段はなく、しかも得られる情報は必ずしも十分とは言えません。また、理事国以外の国はもちろん投票権を持たず、安保理の下す決定を自国にとって望ましい方向に導いていくことは極めて困難です。日本が常任理事国となれば、日本自身の国益に直接関係する国際の平和と安全の問題について、安保理が最終的な決定を下すまでの安保理内での議論の過程に深くかつ常に関わっていくことができます。それによって、日本は国連を通じた協力を一層効果的に行い、日本の国際貢献をさらに高めることができます。 2)国際社会からの視点  日本が常任理事国となれば、例えば、(イ)世界第2位の経済規模を有する日本の国際社会に対する貢献が一層強化されるだけではなく、(ロ)現在、アジア地域からは中国しか常任理事国とはなっておらず、アジアの声が十分に反映されていないという欠点を改めることができ、さらに(ハ)他の常任理事国とは異なって「核兵器を持たない国」として軍縮・不拡散の分野などでこれまで積極的に外交努力を展開してきた日本の意思と能力、知見を、安保理の活動に更に活かすことができるようになります。これにより、安保理の信頼性と実効性が格段に高まることになります。 このように日本は、常任理事国となることで、国際社会が日本に期待している世界の平和と安全の確保のために果たすべき役割をより一層強化すること、そして日本の国益を国際社会においてより良く実現していくことが可能となります。