【予算、機構・定員面での努力】  外務省の2004年度予算においては、ますますグローバル化が進展する国際社会の中で、日本の安全と繁栄を確保するとともに、世界の平和と発展に日本として寄与する必要があるとの観点から、1)重点外交施策を能動的かつ戦略的に実施するための措置、2)たゆまぬODA改革、3)外交実施体制の強化を三本柱として、7,212億円(対前年度比2.0%減)を計上した。  また、2004年度の補正予算では、1)中東和平支援のための経費、2)世界エイズ・結核・マラリア対策基金拠出金、3)クメール・ルージュ特別法廷国連信託基金拠出金、4)国連平和維持活動(PKO)分担金について合計939億円を計上し、緊急に手当てする必要が生じた事項に対応した。  本省の機構については、2003年3月に発表した「外務省機構改革最終報告」に基づき、2004年8月、能動的・戦略的な外交を展開するため、総合外交政策局を強化し、その中に軍縮不拡散・科学部を新設するとともに、新たに領事局及び国際情報統括官を置いたほか、経済局、経済協力局等の課の再編等を行った。在外公館の機構については、新たな外交上・領事業務上の必要に対応するため、2005年1月、在アンゴラ大使館、在重慶総領事館及び在カルガリー総領事館の新設等を行った。2004年度末における日本政府の在外公館(実館)数は、大使館116、総領事館66及び政府代表部7の合計189である。  定員の増強については、かねてよりの重点事項である危機管理・安全体制の強化に加え、2003年11月に起きた奥大使・井ノ上書記官の殺害事件を契機に、在外公館の警備・治安対策や在留邦人保護業務を一層強化する必要があるとの認識も高まった。これを踏まえ、2004年度には、厳しい予算・定員事情の中で、在外公館警備対策及び領事担当官の増員を中心に、外務本省9人、在外公館15人の合計24人の増員を行い、定員数は合計5,414人(外務本省2,143人、在外公館3,271人)となった。 しかしながら、この定員数をもってしても、他の先進諸国と比較すると決して十分とは言えず、依然として人員不足は否めない状況にある。外務省は、こうした定員の増強を図る一方、定員の再配置及び事務合理化等の努力を通じ、既存定員の有効活用を行っている。