【その他各界オピニオンリーダーとの連携】  外務省は、各界有識者の知識と経験、特に専門知識に基づく意見を政策策定の参考とし、また、個別の政策に関する国民の理解を深めるために、学界、経済界、報道関係者、NGO等の各界有識者の参加を得た討議の場を設ける努力をしている。このような観点から、内外の有識者の参加を得たシンポジウム及びトラック2会合(注5)等を活用しており、2004年には60を超える行事の開催及び参画を行った。  まず、政策構想力の強化に力点を置いた取組として、町村外務大臣の下で、外交案件全般にわたって議論を行う有識者を集めての「外交懇談会」が立ち上げられた(11月)。また、2003年に川口外務大臣(当時)の諮問会議として立ち上げられた「国連改革に関する有識者懇談会」(座長:横田国連大学学長特別顧問)が、約半年にわたる議論を経て国連改革について日本のとるべき施策についての提言をまとめた(6月)。  さらに、外務省は、変貌する国際秩序と日本の国際社会の課題への取組を議論するための公開シンポジウムとして、国連大学との共催で「新たな脅威と国連の課題」(3月)を開催し、日本の安保理常任理事国入りについて、幅広い意見交換の場を提供したほか、国連の機能強化のためにアナン国連事務総長が設立した「ハイレベル委員会」の活動に対する日本の貢献として同委員会関連会合を京都で開催(7月)するなど、国連改革に向けた積極的な取組を行ってきた。また、アジア地域における取組としては東アジア共同体の形成に向けての議論を行うための「第2回東アジア・フォーラム」(12月)への参加をはじめとする関連のフォーラムへの協力を行ってきた。  日本外交の重要な柱であるODAについては、日本の国際協力50周年記念事業として、「日本のODA:課題と展望 日本の新しい援助のあり方を求めて」(11月)等の各種セミナーやシンポジウムを開催した。また、「人間の安全保障」の推進に関しては、「人間の安全保障と国家安全保障」(7月)との表題の下で、日本及び国際社会がとるべき方策について議論したほか、平和構築支援については、「平和構築支援におけるNGOの役割」(11月)を通じ、日本の国際貢献につき幅広い分野での関わりにつき議論を深めた。  また、日本政府が主催した大規模な会議と連動したものとしては、TICADIIIのフォローアップとして、「TICADアジア・アフリカ貿易会議」(11月)を開催したほか、公開セミナーとして「東アジアにおける海外直接投資とキャパシティー・ビルディングの経験から学ぶ」と題した公開セミナーを開催した。  安全保障分野での対話の枠組みとしては、「日米安全保障セミナー」(3月)、日米軍備管理・軍縮・不拡散検証委員会セカンド・トラック会合(11月)等において有識者を交えた議論を重ねてきた。  二国間・地域問題においては、2003年の小泉総理大臣の中東訪問を通じて打ち出されたアラブ・イスラム諸国との対話の強化を踏まえ、「第2回中東文化交流・対話ミッション」(9月)を、また、中東和平についても「第2回イスラエル・パレスチナ和平信頼醸成会議」をトラック2の枠組みで実施した。  以上のようなシンポジウムやトラック2会合等の内外有識者の参加を得たフォーラムは、率直な意見や疑問をぶつけ合う場として政府間交渉や国際会議を補完しており、多様な意見を踏まえて創造力に富む外交を推進する上で有益な貢献を果たしている。