2 国際機関で活躍する日本人  冷戦後の新秩序を模索する中でテロや紛争が頻発するなど、国際社会全体が政治・安全保障体制を脅かす諸課題への対応を迫られており、また、グローバル化が急速に進展する中で、環境、人権・人道問題、貧困、感染症等地球規模の諸問題への対応がますます重要になってきている。こうした中で、個々の国家から独立して、国際社会全体の共通利益のために活動している国連等国際機関の果たすべき役割はさらに重く、そこで働く国際公務員の任務と責任もますます重要なものとなってきている。  日本は、国連等国際機関における日本人職員数を増強すべく、優秀な人材の発掘や日本人職員の採用・昇進に向けて、国際機関に対して働きかけを行っている。また、若手職員のためのAE/JPO(注3)等派遣制度の活用、国連事務局などの採用ミッションの受け入れを通じ、日本人職員の増強に努めている。その結果、国際機関の日本人職員は、着実に増加傾向にあり、その中には、選挙で選出された国際機関の長や、国際機関に就職し、生え抜きで活躍している職員など様々な職員がいる。また、若手から幹部職員に至るまでイラク周辺やアフガニスタンなどの紛争地域を含む世界各国の様々な分野において活躍している(注4)。しかしながら、国際機関に勤務する日本人の職員数は610人(2004年現在)であり、これらの機関に占める日本の財政的貢献の大きさと比べて、依然として望ましい水準を満たしていない。引き続き、更なる人材発掘と働きかけを行っていく方針である。