【知的交流、文明間対話】  知識人を通じた交流は、日本の学術水準を高めるのみならず、日本や他国に対する理解を体系化し、広く国民各層に伝える上で重要である。また、異なる価値観に開かれた文化の下で、伝統を維持しつつ近代化を達成した日本が、文明間の対話を促進することは、世界の平和と安定に向けてなしうる重要な貢献のひとつである。 (1)日本研究の促進  諸外国における日本の政治、経済、文化、社会に関する研究を振興することは、各国における日本に対するより深い理解を促進すると共に、次世代の知日派を育てる上で非常に重要である。日本は独立行政法人国際交流基金を通じ、中国の北京日本学研究センターをはじめとする日本研究の拠点となる全世界175機関を対象に、教員の派遣、会議への助成、図書寄贈等を行ったほか、44か国から約160名の日本研究者を招聘した(2004年実績)。 (2)中東との対話  日本政府は、独立行政法人国際交流基金の協力を得て日本と中東諸国の文化交流・対話の促進を目的として9月に有識者5名からなる第2回対中東文化交流・対話ミッションをヨルダン、イランに派遣し、2003年の第1回に続き各国有識者とのシンポジウムを開催するとともに、各国の要人と意見交換を行った。同ミッションに参加した有識者は、その結果をもとに今後の対中東文化政策に関する「報告と提言」を作成し小泉総理大臣に提出した。また、外務省は日本における中東・イスラム諸国の文化・社会への理解を促進するため、独立行政法人国際交流基金及び地方自治体と共催して中東・イスラム理解セミナーを5月に岡山、7月に山形、9月に大阪、12月に札幌にて開催した。当セミナーでは、中東・イスラム諸国の駐日大使及び日本側有識者の講演のほか、参加者との質疑応答、中東諸国からの留学生によるコメント発表、懇談会が行われた。 (3)アジア・米国等との知的交流  アジア各国のコミュニティ意識を醸成することを目的として、アジアの多国間の共同作業・交流を重視した事業を企画・実施している。7月から8月にかけては、日本、中国及び韓国は、三か国の各界リーダーを一同に集めて、三者間の信頼関係を醸成する「日中韓次世代リーダーフォーラム2004」を開催し、現在三か国が共通に抱えている課題について意見交換を行い、課題解決の方途を探った。  日米間では、「日米文化教育交流会議(カルコン)」は、1961年に開始されて以来、日米の有識者が両国間の文化・教育分野の交流増進と相互理解の向上に向けて議論・提言を行っている。2004年11月には第1回次世代グローバル・リーダー育成ワーキング・グループ日米合同会議を開催し、両国関係を担う次世代リーダーの育成に向けた施策の検討を行った。  このほか、独立行政法人国際交流基金は、調査研究やワークショップ、会議等の共同事業を自ら実施したり、各国の研究機関に対する助成やフェローシップの供与を通じ、諸外国の知的交流を促進している。 (4)国際連合大学との協力  日本に本部を有する国際連合大学との間でも、TICAD、人間の安全保障、ODA50周年等、広範な分野において、連携・協力の下に、シンポジウム、セミナーの事業を実施している。