【地域別ODA】 <アジア>  政治・経済・文化等、様々な面で日本と密接な関係を有し、日本の安全と繁栄に大きな影響を及ぼし得るアジア地域に対する援助は、日本のODAの主要な地位を占めてきている。日本のアジア地域に対する2003年の二国間ODAは、約32億2,609万ドルで、二国間ODA全体に占める割合は約53.6%となっている。  これまで日本の対アジア援助の多くは経済・社会インフラ、教育・人材育成に向けられてきた。これらが外国資本の流入と相まって輸出産業の育成につながり、援助、貿易、投資の間の有機的な連携が進んだことが、アジア地域の成長に結びついた。  ASEANとの関係では、域内格差の是正とともに、民間貿易を推進するための制度整備、経済社会基盤の支援、人材育成、環境保全の推進、経済構造改革のための政策形成、地方分権化支援とガバナンス支援、テロ・海賊その他国境を越える問題への支援等の分野において、経済連携強化等にも配慮しつつODAを積極的に活用している。  南アジア地域は世界最大の貧困人口を抱える地域であり、初等教育普及率も低く、保健医療も未整備で感染症問題も深刻であることから、MDGs達成を目指す上でもアフリカと並び大きな課題を抱える地域である。日本は、核不拡散問題や「テロとの闘い」の側面からも、域内各国の経済自由化や経済面を中心とした地域協力等の地域の安定と発展に向けた動きを支援している(対中ODAについては42ページ参照)。 <アフリカ>  アフリカは深刻な貧困、紛争、飢餓、HIV/AIDS等の感染症、累積債務等の課題が集中している地域であり、近年、国際社会では、アフリカ開発の重要性が改めて認識されている。日本のアフリカに対する2003年の二国間ODAは、約5億2,998万ドルで、二国間ODA全体に占める割合は8.8%となっている。  日本は、アフリカ開発会議(TICAD)プロセスを通じて、アフリカの経済成長に不可欠な農業開発や社会・経済インフラ整備、紛争地域における人道・復興支援や平和の定着、人間の安全保障に向けた支援などアフリカ諸国に対し様々な協力を行ってきている。特に、日本の経済協力によって一定の成長を遂げたアジア諸国の経験をアフリカにおいて活用するアジア・アフリカ協力は、日本独自の経験を生かした協力として高い評価を得ており、ネリカ米の開発・普及事業や民間貿易・投資の促進など具体的かつ特色あるプロジェクトが実施されている。  2004年11月には、「TICADアジア・アフリカ貿易投資会議」を東京で開催するなど、日本は国際社会において、積極的に対アフリカ開発協力のイニシアティブをとってきている。