【漁業及び捕鯨】  世界の海洋漁業資源の4分の3あるいは、それを超える割合で乱獲されているとの懸念が国際的に広まりつつある状況の中で、日本は世界有数の漁業国かつ水産物の輸入国として、国際的な漁業資源管理と海洋環境保全のための協力に積極的な役割を果たしている。  近年、各地域の漁業資源管理機関においては、違法・無報告・無規制(IUU)漁船等への対策が進んでおり、大西洋、インド洋、東部太平洋及び南太平洋におけるマグロ類のための各漁業管理機関においては、日本のイニシアティブにより、ポジティブリスト措置が導入された(注25)。また、日本のカツオ・マグロ類漁業生産の約80%を占める中西部太平洋における漁業資源管理を目的とした中西部太平洋まぐろ類条約(仮称)が2004年6月に発効した。日本も、同水域における適切な漁業資源管理と漁業権益を確保するため、同条約の早期締結を目指している。  捕鯨については、2004年7月の第56回国際捕鯨委員会(IWC)年次会合では、持続的利用を支持する国の数と反捕鯨国の数とが拮抗し、反捕鯨国側との建設的な協議が一部見られたものの、南氷洋ミンク鯨や日本沿岸ミンク鯨等の商業捕獲枠の設定提案は否決されるなど、商業捕鯨の再開への見通しは立っていない。日本は、鯨類資源は科学的根拠に基づき、保護すべき鯨種は適切に保護しつつ持続的に利用すべきとの立場であり、IWCにおいて、同じ立場の加盟国との連携を強化し、持続的利用の原則の支持を積極的に働きかけている。