【化学兵器】  化学兵器禁止条約(CWC)(注41)は、化学兵器の開発・生産・保有等を包括的に禁止し、既存の化学兵器の全廃を定めるとともに、条約の遵守を実効的な検証制度(申告と査察)により確保する画期的な条約である。この条約の実施に当たる国際機関として化学兵器禁止機関(OPCW)(注42)が設立されている。  2004年1月、リビアがすべての大量破壊兵器計画を廃棄することを決定した(2003年12月)ことに続いてCWCに加入し、同国における化学兵器の廃棄プロセスが開始された。リビアは保有する化学兵器(マスタード約23トン)や化学兵器生産施設などに関する冒頭申告(注43)をOPCWに対して行ったことを受け、OPCW査察団はこの冒頭申告の内容を検証する査察を開始した。中東諸国にはCWCの未締約国が多く、そうした中でリビアがCWCに加入したことは、この地域の国々のCWCへの加入を促す上で大きな意義を有している。  また、2003年に承認された「CWC普遍化(未締約国の加入促進)に関するアクション・プラン」及び「CWC国内実施措置アクション・プラン」は引き続き実施されており、CWCの普遍化と国内実施強化に向けた取組が強化されつつある。日本も、主としてアジア地域諸国を対象としたセミナーなどを通じて、CWCの普遍化と国内実施措置強化の重要性を呼びかけてきている。