【紛争予防】  近年、国連やG8をはじめとする国際社会においては、紛争を終結させる「紛争解決」だけでなく、紛争の原因を事前に摘み取り、紛争が発生した場合にはその拡大を防ぎ、さらに、紛争の早期終結を促進し、和平合意が成立した場合には社会の安定・復興を通じ、紛争の再発を防止するという包括的な「紛争予防(conflict prevention)」の重要性が広く認識されるようになっている。  紛争予防における重要な取組として武装解除、動員解除及び元兵士の社会復帰(DDR)(注26)がある。スウェーデンが提唱したDDRについて約1年間をかけて国際的議論を深めることを目的とする「DDRに関するストックホルム・イニシアティブ」が2004年11月より開始されており、日本は自らのアフガニスタンをはじめとするDDRの経験を活かして積極的に議論に貢献している。  アフガニスタンのDDRプロセスにおいては、カルザイ大統領の下での移行政権自身が指導力を発揮する形で国際社会の支援を主導している。具体的には、DDRに関する政策立案支援(注27)、軍閥勢力への働きかけ、DDR実施機関の立上げ(注28)と運営支援、DDRプロセスの公正さを確保するための国際監視団の組織といった取組みのために人的・資金的協力を行っている。その結果、2004年10月の大統領選挙に向けて武器を捨てて政治プロセスに参加するという機運が高まり、2004年末までに約3万2千名の兵士が武装解除・動員解除されるに至った。