1 日米安全保障体制 【総論】  アジア太平洋地域には、冷戦終結後も複雑で多様な要因を背景とした地域紛争、大量破壊兵器やミサイルの拡散等、依然として不確実、不安定な要素が存在している。このような状況の下、日米安全保障条約(日米安保条約)に基づく日米安全保障体制(日米安保体制)は、これまで日本を含む極東のみならず、アジア太平洋地域においても平和・安定と繁栄の実現のための基本的な枠組みとして有効に機能してきている。また、日本は、自らの自衛力のみでは自国の安全が脅かされるようなあらゆる事態には対処できない以上、日米安保条約を引き続き堅持することで、米軍の前方展開を確保し、その抑止力の下で日本の安全を確保することが必要である。そのような観点から、日米安保体制の信頼性を一層高めるために、たゆまない努力を続けていく必要がある。こうした努力の一環として、日本は、新たな「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」(注3)の実効性を確保するために、日本有事の際の日米共同対処や周辺事態の際の日米協力につき規定する計画について、2004年6月に成立したいわゆる有事関連法制も踏まえつつ、検討作業を引き続き実施している。