【NATO及びその他の地域機関】 <北大西洋条約機構(NATO)>  NATOは、2004年3月に中・東欧等7か国の新たな加盟国を得て、19か国から26か国に拡大した。2002年のプラハ首脳会議において発表された軍事能力の向上を目指したプラハ能力コミットメント(PCC)(注21)を受けてのNATOの変革も進んでおり、2004年9月にはNATO即応部隊(NRF)(注22)が初期作戦能力に達するなど、軍事能力の向上への取組を強化している。また、アフガニスタンにおいては、2003年8月に非5条任務(注23)における欧州の域外での初めての活動として国際治安支援部隊(ISAF)(注24)の総指揮権を公式に継承し、NATOの最優先事項としてアフガニスタン国内での活動地域の拡大等に取り組んでいる。2004年6月のイスタンブール首脳会合においては、イラク暫定政府より要請のあったイラク治安部隊への訓練支援を行うことに合意して、イラク国内外において訓練支援を開始するとともにその規模の拡大を図っている。  また、NATOは、2004年のイスタンブール首脳会合以降、日本、オーストラリア、ニュージーランド等をコンタクト諸国(NATO非加盟国、非PfP(注25)国、非地中海ダイアローグ国(注26)の中で安全保障問題に関し個別に相互に有益な対話を行ってきた国々)と呼称して、これら諸国の関心を歓迎している。日本との関係では、2004年5月に日本として初めてNATO本部にて駒野欽一在アフガニスタン大使(当時)による「日・NATO対話」の一環として行ったアフガニスタンにおける日本主導によるDDRについての講演はNATO諸国の反響の高いものであった。 <その他の地域機関>  欧州には、EU、NATO以外にも、安全保障分野で欧州安全保障協力機構(OSCE)(注27)、また、人権や法などの分野で欧州評議会(CE)(注28)といった地域機関があり、活発な活動を展開している。  OSCEとの関係では、日本は「協力のためのパートナー」として、各種協議への参加をはじめ、コソボ等の各種ミッションへの要員の派遣、東欧・中央アジア諸国へ選挙監視団の派遣といった人的貢献や、選挙関連経費の負担などの資金面における貢献を行っている。2004年は、グルジア、マケドニア、ベラルーシ及びウクライナのOSCE選挙監視団(注29)へ要員を派遣した。  12月にブルガリアのソフィアで開催された外相理事会では、川口順子総理大臣補佐官が日本代表団長として出席し、OSCEトロイカ(注30)との会合や日本代表のスピーチを通じて、日本のアジア太平洋地域での安全保障面での取組、日本の新たな中央アジア政策、アフガニスタンへの貢献、2004年3月の日・OSCE共催会議を含む対OSCE協力などを説明した。  欧州評議会(CE)との関係では日本は閣僚委員会のオブザーバーとして、人権、法務、文化等様々な分野の会合に積極的に参加しているほか、2004年10月には、コソボ議会選挙の欧州評議会選挙監視団へ選挙監視要員を派遣した。また、CEにおいては様々な分野の条約が数多く策定されているが、日本も2001年11月にサイバー犯罪条約に署名、2003年には受刑者移送条約に加入した。