【カナダ情勢】  連邦政府がケベック州との関係強化を図る目的で創設した、文化事業等の後援を内容とする補助金制度に関し、会計上の問題点が指摘されている政府補助金疑惑などの影響もあり、2004年6月に行われた総選挙では、与党である自由党が議席を減らして過半数割れし、マーティン政権は25年ぶりの少数与党政権となった。当面の内政上の優先課題は、健康保険の制度改革と同性婚の法制化となっている。  外交面では、カナダの国際的な影響力が長期的に低落している傾向にあるとの危機感に応え、対外戦略の包括的な見直し作業(外交政策レビュー)が進行中である。カナダは、それぞれ多様な文化を背景とする州が集まり、連邦を形成した歴史を持つ。また、数多くの移民を受け入れながら、発展してきた。その過程で集積させた統治システムに関する知見を破綻国家の再建に提供することを新しい国際貢献の柱と位置づけ、カナダ独自の協力分野にすることを目指している。イラクへの対応をめぐり立場の違いが生じた米国との関係の調整が課題となっており、ミサイル防衛への参加問題が懸案となっている。