【インド情勢と日本外交】  4月から5月にかけてインド下院議員総選挙が行われ、大方の予想に反し、野党コングレス党が第一党に返り咲き、与野党が逆転した。コングレス党及び選挙協力を行った複数の友党は過半数を獲得し、マンモハン・シンを首班とする連立政権が成立した。  インドは、1991年の経済自由化以降、GDPが年平均6%を超える勢いで成長しており、こうした中で、2004年も引き続き近隣諸国、アジア諸国、欧米諸国との間で経済関係を中心に関係を強化し、国際社会における存在感を高めている。特に東南アジア諸国連合(ASEAN)とは包括的な経済協力のための枠組み協定を締結しており、これを通じて経済連携を深めている。さらに、11月に行われたインド・ASEAN首脳会議においては、「平和、進歩及び共通の繁栄のためのパートナーシップ」が署名され、双方の間で協力関係を多角的なものとすべく行動していくことにつき合意が見られた。  日本との関係では、8月に川口順子外務大臣(当時)、茂木敏充IT担当大臣、中川昭一経済産業大臣がインドを訪問し、インドに対する注目が高まった。11月のASEAN+3首脳会議に際しては、小泉純一郎総理大臣とマンモハン・シン首相との間で首脳会談が行われ、日印経済関係強化のあり方について包括的に協議するための「日印共同研究グループ」を立ち上げることについて合意が見られた。また、両国は、アジアひいては世界の平和と安定、繁栄のために責任を果たすべく協力していくことを確認した。 ▲ナトワル・シン・インド外務大臣との会談に臨む川口外務大臣(8月)