4 南アジア 【総論】  2004年の南アジアは、インド・パキスタン関係の改善の気運が維持され、地域の安定が増すと同時に、近年の高い経済成長を背景に安定を志向する動きが見られた。インド・パキスタン関係では、1月、2年半ぶりに印パ首脳会談が実施され、本格的な対話の再開につき合意が見られた。その一方で、両国はミサイル開発を継続するなど、安全保障面では依然として不安定要因が残されている。  スリランカの和平プロセスについては、停戦合意は概ね維持されているものの、政府と「タミル・イーラム解放の虎(LTTE)」との間での立場の相違から、和平交渉再開の見通しが立たない状況が継続しているなど、日本を含む国際社会が南アジアの平和と安定のために引き続き働きかけていく必要性は高い。