サマーワにおける自衛隊と外務省との協力:現場の自衛隊員の声  私は陸上自衛隊のイラク復興業務支援隊2次要員として、2004年7月から約7か月間、人道復興支援活動に参加しました。業務支援隊は、復興支援に関する地元の様々なニーズの吸い上げ等を行い、自衛隊がムサンナー県内において医療支援、給水支援、学校などの公共施設の復旧・整備支援を行うのを支援する部隊です。  日本は自衛隊による人的貢献とODAによる支援を「車の両輪」としてイラクの復興支援を進めています。地元のニーズを聞く中で、金額が大きく長期的な事業など、ODAにふさわしいと判断される場合には、ODAによる事業を行います。私自身も、発電機の設置、ゴミ処理機材の供与、ムサンナー県全体をカバーする医療通信網の整備等、ODA案件の形成にも協力する機会を得て、貴重な経験をさせて頂きました。  ODAと陸上自衛隊と双方の案件に携わって感じたのは、どちらもそれぞれ独自のスキームを持ち、効果的な復興支援活動を行うためには、互いの能力を補完するよう「両者が力を合わせる」ことが必要だということです。  特に印象に残っているのが町の診療所の整備です。この時には、「施設の改修」を担当する陸上自衛隊が「建物の改修」を、「機材の供与」を担当する外務省が「医療器材等の供与」を実施するという役割分担がなされました。まさに両者の長所を活かした好例であると言えます。その際、砂漠の町サルマンを始め、ムサンナー県内の診療所の現場を共に自分達の目で見て、各々の診療所にとって何が必要であるのか真剣に議論したことは忘れられません。  外務省の人たちとはサマーワ宿営地において、同じ釜の飯を食べ、同じ風呂に入って「イラクの復興」という共通の目標のために邁進する同志です。今後も、「車の両輪」としてイラクの未来に向けて前進していければと思います。 執筆:第1空挺団 2等陸尉 宮澤宗隆 ▲イラクの復興支援に関する陸上自衛隊と外務省とのミーティング(2004年11月13日 サマーワ宿営地)