第2章 地域別に見た外交


パキスタン情勢と日本外交
 パキスタンは、これまでアフガニスタン国境地域におけるアル・カーイダ掃討作戦などを通じて、国内において約600名のアル・カーイダ活動家を拘束している。また、インド洋における海上阻止活動(OEF-MIO)に自国艦船を派遣するなど、国際社会とも協力しながらテロとの闘いに取り組んでいる。日本は、このようなパキスタンの姿勢を評価しており、2004年7月にはテロ対策特別措置法に基づいて同国と交換公文を締結し、自衛隊艦船による同国艦船に対する給油・給水活動を開始した。
 内政面においては、ムシャラフ大統領は、2004年8月に就任したアジーズ首相とともに、引き続き国内の諸改革に取り組んでいる。こうした改革努力もあり、マクロ経済面では引き続き好調を維持し、2003~2004年度には6.4%の成長率(パキスタン政府発表)を達成した。日本としても、このような同国の改革努力を評価し、同国が「穏健かつ近代的なイスラム国家」として安定的に発展するのを支援してきている。なお、ムシャラフ大統領は、「大統領兼職法2004年」の成立を踏まえ、同年12月、陸軍参謀長の兼任を継続することを表明した。
 日本とパキスタンの間では要人往来・協議が活発に行われている。2004年2月にはハイレベル経済協議が、同年6月のアジア協力対話(ACD)の際には外相会談がそれぞれ開催された。同年8月にはフセイン下院議長一行が訪日、また、同月、川口外務大臣(当時)がパキスタンを訪問し、円借款再開の検討の開始を表明した。その後も、同年10月、外務次官級政務協議を開催、同年12月、福島外務大臣政務官が訪問した。
 このように、活発な往来・協議を通じて相互理解が深まるとともに、テロとの闘いでの協力、経済支援などを通じて、両国の関係は一層緊密になってきている。



▲カスーリ・パキスタン外相との会談に臨む川口外務大臣(8月)




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