(注1) 脅威にさらされている人間一人一人に注目し、(1)暴力を伴う紛争下にある人々の保護、(2)武器の拡散からの人々の保護、(3)移動する人々の安全確保の推進、(4)紛争後の状況下での人間の安全保障移行基金の設立、(5)極貧下の人々が恩恵を受けられる公正な貿易と市場の支援、(6)普遍的な生活のできる最低限度の基準を実現するための努力、(7)基礎保険サービスの完全普及の実現により高い優先度を与えること、(8)特許権に関する効率的かつ衡平な国際システムの構築、(9)基礎教育の完全普及により全ての人々の能力を強化すること、(10)個人が多様なアイデンティティを有し多様な集団に属する自由を尊重すると同時に、この地球に生きる人間としてのアイデンティティの必要性を明確にすること等を提言している。
(注2) 2001年4月に作成され、その後、2003年11月に一度改訂された後、今回の改訂に至った。
(注3) 毎年閣僚級の会合を開催し、人間の安全保障に関わるテーマを検討。カナダ、オーストリア、チリ、ギリシャ、アイルランド、ヨルダン、マリ、オランダ、ノルウェー、スロベニア、スイス、タイ、南アフリカ(オブザーバー)の13か国がメンバー。
(注4) 「5ヵ年行動計画」:気候変動の影響、気候変動に対する脆弱性及び気候変動の悪影響への適応について、科学的・技術的・社会経済的観点から検討を行うもの。気候のモデリング(将来予測)、脆弱性の評価、洪水、干ばつなど気候変動の悪影響への適応等の持続可能な開発への統合等が盛り込まれる予定。
(注5) 「京都イニシアティブ」:1997年にODAを中心とした温暖化対策分野での途上国支援を一層強化するための支援策として日本が発表したもの。具体的には、1)「人づくり」への協力、2)譲許的な条件による円借款、3)日本の技術・経験(ノウハウ)の活用・移転を内容とする。
(注6) 途上国の温室効果ガス排出量は2010年頃には先進国の総排出量を上回る見込みであるにもかかわらず、京都議定書は、途上国に対しては温室効果ガス削減の目標を設定していない。また、米国は、依然として世界第一位の温室効果ガス排出国であるが、2001年3月に京都議定書不支持を表明して以来その方針を変更していない。
(注7) 「気候変動に対する更なる行動」に関する非公式会合:気候変動問題について、率直かつ実務的な意見交換を通じ、将来の行動に向け検討を深めることを目的に、外務省の主催により開催したもの。2004年は、日本とブラジルの共同議長の下、世界の温室効果ガス排出量の80%を占める主要先進国・途上国(米国、ロシア、中国、インドを含む18か国及びEC)の政府高官等の参加を得て開催した。
(注8) 国連水と衛生に関する諮問委員会:水と衛生に対する人々の意識を高め、プロジェクトに対する資金動員を支援し、新たなパートナーシップを推進していくことを目的とする。水・資金調達等の分野における世界的な有識者・オピニオンリーダーにより構成されている。
(注9) 国際熱帯木材機関(ITTO):熱帯林保有国の環境保全と熱帯木材貿易の促進を両立させ、途上国の経済的発展に寄与する目的で1986年に設立された。本部は横浜市。
(注10) アジア森林パートナーシップ(AFP):アジアの持続可能な森林経営の促進を目的として、アジア諸国(主にASEAN)、援助国・国際機関及びNGOなどが違法伐採対策、森林火災予防、荒廃地の復旧(植林)等の活動を通じて協力していくためのパートナーシップ。2002年8月のヨハネスブルグ・サミットで正式に発足し、これまでに4回の実施促進会合を実施している。
(注11) 国連環境計画(UNEP)及び国際環境技術センター(IETC):国連環境計画(UNEP)は、オゾン層保護や有害廃棄物等の環境分野を対象に、国連活動・国際協力活動を行っている。本部はナイロビ。UNEP国際環境技術センター(IETC)は、UNEPの内部機関として、研修やセミナーの開催、環境問題に対するコンサルティング・サービスの実施、環境面で優れた実績を持つ日本の地方自治体の経験と知識を開発途上地域に広める活動等を行っている。事務所は大阪市と滋賀県草津市。
(注12) 人身取引対策行動計画:2004年4月に総理官邸に設置された人身取引に関する関係省庁連絡会議において同年12月7日に策定され、出入国管理強化を含む人身取引の防止、刑法改正及び取締り強化による人身取引加害者の処罰、シェルターにおける保護等の被害者保護を中心に、包括的な施策が盛り込まれている。
(注13) リヨン・グループ:国際組織犯罪対策に取り組むために1995年のG7ハリファクス・サミットにおいて設置が決定された上級専門家会合の通称で、その名は翌1996年の仏リヨンで開催されたサミットにおいて最初の報告が行われたことに由来する。グローバリゼーションの進展とともに、その影の部分として、銃器の密輸、人の密輸、ハイテク犯罪等国境を越えて組織的に行われる国際組織犯罪が増加しており、リヨン・グループでは、これらの問題に立ち向かうため、技術的・法的な諸問題の解決に向け、精力的に討議を重ねてきている。また、2002年9月11日の米国同時多発テロ発生後、リヨン・グループで討議されてきた国際組織犯罪対策の知見をテロ対策にも活用する観点から、リヨン・グループとローマ・グループ(G8テロ対策専門家会合)との合同会合が累次開催され、現在に至っている。
(注14) ダブリン・グループ:ダブリン・グループは、主要先進国で薬物関連援助政策等につき相互理解を深め、政策の調整を図ることを目的として、1990年6月ダブリンにおいて発足した。日本、米国、カナダ、オーストラリア、ノルウェー、EU25ヶ国及びUNODCの参加を得て、ブリュッセルにおいて、年2回の全体会合を開き、薬物関連の援助政策等の協調のため、情報交換・協議を行っている。日本は隔年でオーストラリアとともに東南アジア地域グループの議長を務め、東南アジア諸国における支援のあり方についての意見交換を行っている。また、ダブリン・グループ会合と同様の趣旨の協議を、薬物生産国におけるダブリン・グループ参加国の大使館で行うことが提唱されたことを受けて、ミニ・ダブリン・グループ会合と称するアドホック会合が、約70か国の主要な薬物生産国において開催されている。
(注15) 取締り強化プロジェクト:タイ、ラオス、ミャンマー、ベトナム、カンボジアなどの東南アジア諸国や中国の国境における不正薬物取引の取締りを強化するため、各国国境の法執行担当者に対して捜査方法の訓練等を実施。セミナー形式で各国取締官を集めて行うものと、コンピューターを使ったシミュレーション(CDやDVDを各国に配布)で行うものとがある。
(注16) 東アジアATS取締強化への科学的支援プロジェクト:近年、ATS(アンフェタミン型覚せい剤)問題が深刻さを増している東アジア地域を対象とし、押収薬物の鑑定・不純物のプロファイリングにおける科学捜査能力の改善と、各国における標準化された分析データの利用推進を目的とするもので、具体的には、現在各国が独自に行っている分析手段の標準化及び「シグニチャー・アナリシス技術プロジェクト」の下で開発された分析技術の東アジア各国への移転を行う。
(注17) 北朝鮮の人権状況決議:国連人権委員会が、北朝鮮における広範かつ重大な人権侵害への懸念を表明した上で、北朝鮮に対して、人権関連条約の締結・遵守、国連機関との協力・対話、外国人拉致問題に関するすべての未解決の問題の明確・透明・緊急な解決を求めるとともに、人権委員会議長に対し、北朝鮮の人権状況を調査・勧告する特別報告者の任命を求めることなどを内容とするもの。
(注18) 北朝鮮の人権状況特別報告者:特別報告者とは、国際的に人権分野で確立した名声と知見を有する個人を人権委員会が任命し、一定のマンデートを与えるもの。北朝鮮の人権状況特別報告者は、北朝鮮の政府と国民に直接接触し、また、各国政府やNGO等より情報を得つつ、北朝鮮の人権状況につき調査し、人権委員会と国連総会において、調査結果と勧告を報告することを任務とする。現在の特別報告者は、タイのウィティット・ムンタボーン教授。
(注19) カンボジア人権状況決議:国連人権委員会として、クメール・ルージュ裁判の特別法廷の設置合意と総選挙の平和的な実施を歓迎しつつ、カンボジアに対して人権状況の更なる改善を求めるとともに、国際社会に対して、同特別法廷の開設と人権状況の改善のための資金的・技術的協力を求めることを内容とするもの。
(注20) 主要人権6条約:経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、市民的及び政治的権利に関する国際規約、拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、児童の権利に関する条約、あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約。
(注21) 児童の権利条約批准10周年記念シンポジウム:2004年3月、日本は児童の権利に関する条約の批准10周年を記念し、広く国民に児童の権利について理解してもらうこと、及び、同年1月にジュネーブで行われた日本の第2回政府報告に対する児童の権利委員会による審査のフォローアップを目的に、国内外の幅広い層からの参加を得て国連大学において記念シンポジウムを開催した(ユニセフと共催)。国会議員、ジャーナリスト、学術関係者、作家、国内NGOがパネリストとして参加したほか、タレントの草

剛さん(SMAP)を特別ゲストとして招いた。国内でも不登校、いじめ、児童虐待、少年犯罪等が社会問題化する中、条約の精神に照らしつつ、日本が直面する子どもを巡る諸問題等につき議論したことにより、児童の権利に関する関係者の意識の向上を促進し、また、問題の解決へ向けて各関係者が一丸となって取り組まなければならないとの認識を共有した。
(注22) 武力紛争における児童の関与に関する児童の権利に関する条約の選択議定書:世界中の多くの地域で発生している武力紛争において、児童が戦闘に参加させられ、あるいは暴力による虐待や性的搾取を受けている事態を改善し、児童の権利を促進・保護するために2000年第54回国連総会で採択された議定書。18歳未満の自国の軍隊の構成員が敵対行為に直接参加しないことを確保することや、18歳未満の者を自国の軍隊に強制的に徴収しないこと、軍隊志願者の採用についての最低年齢を「児童の権利に関する条約」(1990年発効)が定める15歳未満から引き上げること等が定められている。
(注23) 児童の売買、児童の買春及び児童ポルノに関する児童の権利に関する条約の選択議定書:世界中で多数の児童が性産業に従事させられ、児童の売買、児童買春及び児童ポルノによる被害を受けている事態を改善し、児童の権利を促進・保護するために2000年第54回国連総会で採択された議定書。児童の売買、児童の買春及び児童ポルノに係る一定の行為の犯罪化、裁判権の設定、犯罪人引渡し、国際協力等が定められている。
(注24) ハイレベル会合:9月7日から10日にかけて、1995年に北京で行われた第4回世界女性会議の10周年記念となる第49回婦人の地位委員会(2005年2・3月にニューヨークの国連本部で開催)にアジア太平洋地域として貢献する目的で、バンコクのESCAP本部において開催され、アジア太平洋地域における「北京宣言・北京行動網領」及び「国連特別総会:女性2000年会議成果文書」の実施状況等に関する討議がハイレベルで行われた後、「バンコク・コミュニケ」を含む報告書が合意採択された。
(注25) 国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP):1947年、国連経済社会理事会の下部機構のアジア太平洋地域の地域委員会。国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が設立され、1974年国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)に改称。経済・社会開発の協力機関として広範囲な分野で地域協力プロジェクトを実施してきている。
(注26) HCR1,710万人に加えUNRWA419万人。
(注27) 紛争で傷ついたコミュニティの再生と国内融和のための支援及びアフリカ自身による紛争解決努力(和平プロセス)への支援。