第2章 地域別に見た外交 第7節

(注1) アフリカのための新パートナーシップ(NEPAD): 国際社会の援助に依存せず、アフリカ自身の責任でアフリカの貧困削減、持続可能な成長と開発、世界経済への統合を目指すアフリカの主導でまとめられた開発イニシアティブ。2001年7月のアフリカ統一機構(OAU、現アフリカ連合)総会で採択された。アフリカ開発に必要な前提条件として、平和と安全保障、ガバナンス、地域協力の推進などを重視している。

(注2) アフリカ連合(AU):前身のOAU(アフリカ統一機構)の発展改組により、2002年に発足したアフリカ全体を包含する地域機関。発足以降、アフリカの政治的・経済的統合推進の中核的役割を担ってきており、特に、頻発するアフリカの紛争(スーダン、大湖地域、コートジボワールなど)の問題に対して、近年、非常に重要な役割を果たしつつある。

(注3) 「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」に対する支援と協力の基礎となるG8の対応策として、2002年のカナナスキス・サミットにて採択された行動計画。平和と安全保障、ガバナンス、貿易・投資、経済成長、持続可能な開発、教育、保健、農業等の分野を対象とする包括的なもの。

(注4) 途上国の開発問題を議論する様々な国際会議においても、アフリカは主要議題の一つとなっている。2000年の「国連ミレニアムサミット」の際に「アフリカの個別のニーズへの対応」がミレニアム宣言に盛り込まれて以降、2002年の「モンテレー開発資金国際会議」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD)」、2003年3月に日本で開催された「第3回世界水フォーラム」等において、アフリカの開発問題が幅広く議論された。

(注5) 1990年代前半、冷戦が終結し、東西両陣営が互いの陣営にアフリカ諸国を取り入れる必要がなくなった結果、アフリカの戦略的な価値が低下するとともに援助国のアフリカへの関心が薄れ、同時に、援助を行っても効果がなかなか出ないため、「援助疲れ」と呼ばれる状態が見られた。

(注6) アフリカのためのグローバル連合(GCA): アフリカ開発の優先分野に関して、アフリカ諸国、ドナー国・機関、及びNGOなどの間で政策的な意見の一致を生み出すことを目的として、元首クラスを含むハイレベルでの国際的議論の場を提供する非政府組織。コナレ・AU委員長、メレス・エチオピア首相、緒方貞子JICA理事長等が共同議長を務めている。

(注7) 「アジア・アフリカ貿易投資促進のための政策に関するTICAD・NEPAD共同枠組」: TICAD共催者とNEPAD事務局が、アフリカにおけるビジネスの促進のために相互に協力することを謳った政策的枠組みの文書。(1)「経済成長を通じた貧困削減」、アフリカのオーナーシップ、普遍的価値の尊重などの理念的基礎、(2)平和と安定、人材育成、汚職対策などの具体的課題、を共有しつつ、(3)アジア・アフリカ間の貿易投資の促進のための官民の対話と協力のチャンネルの強化を提示。

(注8) ECOWAS(Economic Community of West African States):1975年に設立された西アフリカの域内経済統合を推進する準地域機関。近年は、経済統合の前提として政治的安定の確保が重要との観点から、国際社会の支援を受けながら地域紛争解決等関連活動を活発化させている。

(注9) 南部アフリカ開発共同体(SADC): 南アフリカ、ボツワナ、タンザニア等南部アフリカ諸国13か国により構成される地域機関。本部はボツワナの首都ハボローネ。域内の経済発展促進、地域統合、平和と安全の維持・促進などを推進している。

(注10) 東アフリカ共同体(EAC):ケニア、タンザニア、ウガンダの東部アフリカ3か国により構成される地域機関。本部はタンザニアのアルーシャ。2001年の3か国首脳会議にて正式に発足。域内の政治、経済、社会、文化、安全保障、司法といった広範な分野での協力を目的としている。

(注11) 国連とAUの共催により、11月19~20日、タンザニアに11か国の大湖地域諸国大統領が一堂に会して開催された。大湖地域における紛争の循環に終止符を打つため地域協力を促進する行動計画の策定を目指し、「大湖地域の平和・安全・民主主義・開発に関するダルエスサラーム宣言」が採択された。