【日本企業支援窓口】  在外公館の「日本企業支援窓口」では、現地に進出している日本企業からの様々な相談に耳を傾け、民間ビジネス活動に対する支援を積極的に行っている。  2003年12月、2003年度上半期の6か月間における同窓口を通じた支援の実績を調査したところ、189公館から計647件の報告があった。このうち、同期間中に問題の解決に結びついた事例は536件であった(注)。  外務省では、これらの在外公館からの報告を外務本省及びすべての在外公館において共有し、各在外公館が他の公館における取組を参照できるようにするとともに、在外公館全体の日本企業支援に関するノウハウを蓄積・活用することにより、日本企業の活動支援の充実を図ることとしている。また、日本企業の間で当該日本企業支援の認知度をさらに高めるため、代表的な事例を含む同報告書の要点を外務省ホームページに掲載するなど、対外的な広報を積極的に行うこととしている。今後は、在外公館と日本企業との一層緊密な連絡、連携を図りつつ、さらに、関係部局が緊密に連絡を取って、二国間、多国間の協議、交渉の場で企業から相談のあった個別の問題を取り上げるなど、民間ビジネス支援活動を戦略的に強化していく方針である。 (注)同窓口への相談内容は、税制、規制、裁判、入札、査証、治安、知的財産権などの分野で関係当局に是正を申し入れる等の事例が179件(27.67%)、事業の相手方とのトラブルを解決するための働きかけを行った事例が44件(6.8%)、日本企業の要望を関係当局に伝達するなど、関係当局による日本企業に対する協力を確保するための働きかけを行った事例が80件(12.36%)、現地での情報入手、人脈形成に協力した事例が294件(45.44%)、その他の事例が50件(7.73%)となっている。 TOPIC 日本企業支援窓口って役に立つの?  日本大使館といえば、「敷居が高い」とか、「お堅い」イメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。日本企業の皆様の御相談に応じるため、すべての大使館、総領事館に設置された「日本企業支援窓口」では、こうしたイメージを少しでも軽くし、お役に立つための努力を続けています。こうしている今も、どこかの国で、日本企業から大使館、総領事館に様々な相談が寄せられているかもしれません。  ASEAN経済の中核であるタイを例にとってみます。タイには、約1,200社にのぼる日本企業が進出しています。整備された投資環境が魅力ですが、それでも現地政府の担当官によって対応がまちまちであったり、処理が遅いなどといったことで、日本企業と現地政府の間で様々な問題が発生する場合があります。例えば、タイ当局の付加価値税の還付が非常に遅いとか、労働許可制度の運用が厳しすぎるとか、国際条約に合致しない不当なダンピング提訴を受けたといった問題について、「日本企業支援窓口」に相談が寄せられています。  このような相談に対し、在タイ日本国大使館では、バンコク日本人商工会議所やJETRO、JICA、JBIC等の機関と協力しながら、タイ政府の関係当局に対し公正な対応を申し入れたり、影響力のある有識者に働きかけたり、日本企業に必要な情報を提供する等問題の解決に向けて積極的に取り組んでいます。既に付加価値税については、多くの日本企業から「還付までの期間が短縮された」との評価を受けていますし、労働許可の規制緩和についてもタイ政府が規則や運用規定等の見直しに着手し始めるなどの成果が上がってきています。  今後、日本企業の海外での活動が一層活発化していく中で、大使館、総領事館に対する相談の内容が複雑化、高度化していくと考えられます。外務省としても、日本企業の皆様にとって、「日本企業支援窓口」が一層良い相談先となるよう今後とも頑張っていくつもりです。外務省日本語ホームページには、「日本企業支援窓口」担当者リストを掲載していますので、何かお困りのことがありましたら、是非、御相談頂ければと思います。