【国内広報活動】  国民に対する情報発信のため、外務省は、〔1〕「顔の見える広報」、〔2〕IT(情報技術)による広報、〔3〕メディアを通じた広報のそれぞれの分野で活動を行っている。 〔1〕「顔の見える広報」  外務省は、外務大臣をはじめとして外交実務を実際に担当する外務省員が、国民と直接対話を行ういわゆる「顔の見える広報」の推進に力を入れている。2002年4月、川口外務大臣は自らの発意により、国民と外務大臣が直接対話を行う「外務省タウンミーティング」を開始し、2003年は、福岡(テーマ:「日本と東アジア」)、仙台(「これからの日本外交」)、広島(「平和のための日本外交」)、東京(「これからの経済外交〜FTA(自由貿易協定)への取り組み〜」)において計4回開催した(2003年末までに通算計8回)。このミーティングでは、川口外務大臣は、国民の関心の高いテーマについてプロジェクターなどを使って分かり易く説明を行い、また、広く日本の外交政策のあり方や国際情勢について質問や意見に率直に応えることにより、国民の外交に対する理解を深めることに努めた。  なお、政府開発援助(ODA)については、ODA改革の動きについて国民に紹介すること等を目的として「ODAタウンミーティング」が全国各地において定期的に開催されており、2003年は計9回開催した。  外務省はまた、外務省員と国民をつなぐ「外交の窓」、「外交クラブ」、「国際フォーラム」などの講演会やシンポジウムを全国各地で開催しているほか、若い世代の国際理解を促進するため、大学(「外交講座」)、高校(「高校講座」)での講演会を行っており、参加者より高い評価を得ている。また、大学生と若手外務省職員との意見交換の場である「タウンミーティング『学生と語る』」(東京や京都などで年4回実施)は、日頃持っている疑問や意見を直接ぶつける機会として、参加学生に非常な人気を博している。こうした催しは、国民に対する情報発信に寄与するだけではなく、外務省員が国民の考えに直接触れる機会ともなり、外交実務を遂行していく上での貴重な経験となっている。今後もこのような「顔の見える広報」により、日本の外交政策等につき、国民の理解を得るように努めるとともに、幅広く国民の意見を求め、外交政策立案の参考としていく考えである。 ▼東京で開かれたタウンミーティングに出席する川口外務大臣(12月) 〔2〕IT(情報技術)による広報  インターネットは外交政策についての情報を正確・迅速に直接国民に発信する重要な手段である。外務省ホームページは、外交政策や国際情勢について日々最新の情報を提供しており、今後、さらに充実させていく考えである。同ホームページには、各国・地域情勢など身近で有益な情報も掲載されており、開設以来多数の方が利用している。2003年は、特に国民の関心の高い分野(イラク情勢等)についての特集ページを設けており、同年11月にイラクにて亡くなった奥大使の書き綴った71回にわたる「イラク便り」は非常に大きな反響を呼んだ。また、必要な情報に簡単にアクセスできるよう構成・デザイン等の充実化を図った。今後は、ブロードバンドの普及に対応することも視野に入れて動画の活用等さらに充実化を推進していく考えである。さらに、ホームページでは、情報の発信だけではなく、「外交政策Q&A」というコーナーにおいて、質問・意見等を受け付けており、多く寄せられた質問・意見については、外務省の考え方をホームページに掲載するようにしている。 〔3〕メディアを通じた広報  日常的に接する新聞・テレビ等を通じて日本の外交政策について的確な情報発信を行うことにより、国民の信頼とよりよい理解の増進を図ることは重要である。そのため、外務省では、公式な情報発信の機会である外務大臣、外務副大臣、事務次官、外務報道官等による定期的な記者会見や談話・発表文、記事資料の発出を中心に、報道関係者を通じて国民・世論に積極的にメッセージを発している。  また、特に国民の関心が高いと思われる重要な外交問題については、その背景を含めより詳細な情報を提供するため、テレビ・ラジオの放送番組に対する取材協力、定期刊行物への資料提供等の協力やパンフレットの作成などを通じて、分かり易い広報に努めている。特に手に持って見ることのできるパンフレット(注)は、タウンミーティング等の機会を通じて広く配布しており、分かり易い資料として高い評価を得ている。 (注)2003年作成のパンフレット:「イラク復興支援」、「日米交流150年」、「日本とアフリカ」、「日本とASEAN」、「われらの北方領土」等。