3 各界オピニオンリーダーとの連携  外務省は、各界有識者の知識と経験、特に専門知識に基づく意見を政策策定の参考とし、また、個別の政策に関する国民の理解を深めるために、学会、経済界、報道関係者、NGO等の各界有識者の参加を得た討議の場を設ける努力をしている。このような観点から、内外の有識者の参加を得たシンポジウム及びトラック2会合(注3)等を活用しており、2003年には50を超える行事を開催した。  政策構想力の強化に力点を置いた取組として、外務省「変える会」最終報告に基づき各界有識者で構成される「外交評価パネル」(座長:北岡東京大学教授)が1年間にわたる会合の成果を踏まえた報告書をまとめ、同報告書を川口外務大臣に提出した(9月)。また、外務大臣の諮問会議として立ち上げた「国連改革に関する有識者懇談会」(座長:横田国連大学学長特別顧問)では、国連改革について日本のとるべき施策について討議を行っており、2004年5月までに外務大臣に提言を行うこととされている。  日本外交の重要な柱である「人間の安全保障」の推進に関しては、「人間の安全保障委員会」が取りまとめた最終報告書を紹介し、日本及び国際社会がとるべき方策について議論するため、「第3回人間の安全保障国際シンポジウム」(2月)、シンポジウム「安全保障の今日的課題」(12月)を開催した。また、ODA大綱の改定にあたっては、ODA総合戦略会議における議論を踏まえるとともに、「国際援助潮流と日本のODA大綱セミナー」(6月)を開催し、内外の専門家とともに日本のODA政策のあり方について議論を行った。  さらに、変貌する国際秩序と日本及び国際社会の課題を考えるシンポジウムとして、「いま望まれる国連外交−平和と繁栄の21世紀を求めて」(3月)、「新たな脅威と大量破壊兵器の拡散防止」(3月)、「平和活動における文民と軍事要員の協力」(4月)を国連等との共催により開催した。  アジアにおける安全保障分野での対話の枠組みとしては、「北東アジア協力対話」(NEACD/9月)、「アジア太平洋安全保障協力会議」(CSCAP/12月)、英国・国際戦略問題研究所(IISS)の主催による「アジア安全保障会議」(5月)があり、日本も参加するなど積極的な関わりを続けている。  地域問題においては、5月の小泉総理大臣の中東訪問を通じて打ち出されたアラブ・イスラム諸国との対話の強化を踏まえ、「日本・アラブ対話フォーラム」(9月)や、2002年より開始した「イスラム世界との文明間対話セミナー」の第2回会合(10月)等を開催した。  以上のようなシンポジウムやトラック2会合等の内外有識者の参加を得たフォーラムは、率直な意見や疑問をぶつけ合う場として政府間交渉や国際会議を補完しており、多様な意見を踏まえて創造力に富む外交を推進する上で有益な貢献を果たしている。 (注3)一般に、政府間対話をトラック1、非政府間・民間レベルの対話、政府と民間が混在する対話をトラック2と呼んでいる。