【各論】  科学技術の二国間協力の推進のため、日本は、各国と二国間科学技術協力協定を締結しており、協定に基づく定期政府間会合等を通じて、科学技術政策及び諸課題に関する意見交換や、具体的な共同研究開発案件についての協議を行っている。2003年には、米国、フランス、カナダ、スウェーデン、オランダとの間でこうした会合を行った。また、新たにノルウェー及び南アフリカ共和国との間でそれぞれ協定を締結し、今後一層の協力の充実を図ることとなった。  大規模な国際科学プロジェクトの推進例としては、資源エネルギー、宇宙、地球観測、生命科学、軍縮・不拡散の分野における日本の取組が挙げられる。  資源エネルギーの分野では、人類の恒久的なエネルギー源の一つとして期待される核融合エネルギーの実現可能性を実証するための国際共同プロジェクトである国際熱核融合実験炉(ITER)計画を推進している。日本は、ITERの青森県六ヶ所村への誘致及び計画実施のための国際的枠組みの形成を目指し、積極的に政府間協議に臨んでいる。  宇宙分野において、日本は、宇宙空間という特殊環境の中で様々な実験を行う研究所を建設する国際宇宙ステーション(ISS)計画に各国と共同で参加している。ISS計画の中では、日本初の有人実験施設(愛称「きぼう」)が打ち上げられる予定である。現在、2003年2月に起きたスペースシャトル・コロンビア号の事故によるISS計画への影響を克服して早期のスペースシャトルの飛行再開を目指すべく、各国との協力を推進している。  地球観測の分野では、自国領域のみならず地球規模での観測の必要性が高まる中、日本は各国と協力し、アルゴ計画(高度海洋監視システム)、深海掘削計画(IODP)等を中心的に推進している。  生命科学の分野においては、近年、バイオテクノロジーの急速な進歩により、人クローン個体の生成が危惧され、国際的な論議を呼んでいる。日本は、人クローン個体の生成を禁止する国際条約を早期に策定するよう、国連の場等を通じて積極的に国際社会への働きかけを行っている。  軍縮・不拡散分野では、日本が各国と共同で1994年にモスクワに設立した国際科学技術センター(ISTC)を通じ、旧ソ連諸国の大量破壊兵器関連研究者・技術者の民生転換のための支援を行っている。日本は、これまでISTCを通じ約5,700万ドル(2003年12月現在)のプロジェクト支援を行っている。