【生物兵器】  生物兵器禁止条約(BWC)(注21)は、生物兵器を包括的に禁止する唯一の既存の国際的枠組みとして重要であるが、締約国が条約を遵守しているかどうかを検証する手段に関する規定を欠くため、条約をいかに強化するかが課題となっている。BWC締約国は、2001年11月の第5回運用検討会議(注22)において検証手段を導入するための議定書を作成する交渉を中断したが、2002年11月に再開された会議において3か年作業計画(注23)を全会一致で採択した。  2003年8月、上記作業計画の枠組みで初の会合となる専門家会合が開催され、本年の議題である条約の国内実施措置及び生物剤の保安管理(バイオセキュリティ)の2分野について活発な情報・意見交換が行われた。11月に開催された年次締約国会合において締約国は、今後各国がその国内制度の差異にかかわらず本年の議題である2分野の強化に取り組んでいくとのコミットメントを確認し、また、2006年の運用検討会議でその進捗ぶりをレビューすることに合意する報告書を採択した。日本は上記会合において、最終報告書の採択に向け各国との調整に努めるなど実質的な貢献を行った。 (注21)1975年3月発効。2004年3月現在の締約国数は151か国。生物兵器の開発、生産、貯蔵、取得及び保有を包括的に禁止するとともに、保有する生物兵器の廃棄義務を規定する。 (注22)5年に1回、生物兵器禁止条約の運用状況を検討するために開催される締約国会議。 (注23)BWC締約国は、2003年から次回運用会議が開催される2006年まで専門家会合及び締約国会合を毎年開催して条約強化のための以下の5分野を順次協議し、締約国間の共通理解と実効的措置を促進していくこととなった。 〔1〕条約の禁止事項を実施するための国内措置の強化 〔2〕病原体・毒素の安全管理・管理体制を確立・維持するための国内措置(バイオセキュリティ) 〔3〕生物兵器の使用の疑惑及び疑義のある疾病の発生に対処し、調査・被害の緩和を行うための国際的対応能力の強化(危機対処) 〔4〕感染症の監視・探知・診断に対処するための国内・国際的努力の強化(疾病サーベイランス) 〔5〕科学者の行動規範