【包括的核実験禁止条約(CTBT)】  日本は、包括的核実験禁止条約(CTBT)を、IAEAの保障措置と並び、NPTを礎とする核不拡散・軍縮体制の不可欠の柱として捉え、その早期発効を核軍縮・不拡散分野の最優先課題の一つとして重視しており、2003年は以下のような外交努力を行った。  2003年9月、ウィーンにて開催された第3回CTBT発効促進会議に日本より川口外務大臣が出席し、演説を行い、CTBT早期発効の重要性を直接各国に訴えた。会議に先立つ7月、日本は、議長国フィンランド、開催国オーストリアと3か国の外務大臣により共同で被招待国に書簡を発出し、会議への閣僚レベルの参加及びCTBT早期署名・批准を呼びかけた。また、CTBTの発効のために署名・批准の必要とされる44か国のうち、北朝鮮を除くすべての未批准の国11か国の首都において、上記3か国の大使共同で3か国外相共同書簡を提示しつつ、会議への閣僚レベルの参加及びCTBT早期署名・批准を働きかけた。その結果9月の会議には、107か国が参加し、各国に対する早期署名・批准の要請、核実験停止(モラトリアム)継続の要請等を盛り込んだ最終宣言が全会一致で採択された。また、日本は、二国間会談や多国間の枠組みを通じ、CTBTの早期署名・批准を働きかけたほか国際監視制度(IMS)(注12)の整備の一環として、2002年11月に設立されたCTBT国内運用体制の下、日本国内に10か所の監視施設の建設・整備を進めた。11月、翌2004年のCTBT機関準備委員会議長に日本の高須ウィーン代表部大使が選出された。 (注12)世界337か所に設置される4種類の監視観測所(地震学的監視観測所、放射性核種監視観測所、水中音波監視観測所及び微気圧振動監視観測所)により、CTBTにより禁止されている核兵器の実験的爆発または他の核爆発が実施されたか否かを監視する制度。