【難民支援】  民族・宗教等を背景とする紛争や対立の頻発に伴い、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)及び国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の保護や支援の対象となっている難民・国内避難民等の数は、約2,462万人に達している(2003年1月1日現在)。このような世界各地における難民・国内避難民等の存在は、人道上の問題であると同時に、関係地域のみならず、国際社会全体の平和と安定に影響を及ぼしかねない問題となっている。  日本は、人間の安全保障の観点から、難民・国内避難民等に対する人道支援を国際貢献の重要な柱の一つと位置付けており、UNHCR、国連世界食糧計画(WFP)、赤十字国際委員会(ICRC)等の国際人道機関の活動に対して積極的に支援を行ってきている。  また、アフガニスタン、アンゴラ等における厳しい勤務状況の下で、UNHCR、WFP等の国際人道機関で日本人職員が活躍しているなど、日本は人的貢献も行っている。  アフガニスタンにおける難民問題に関しては、2002年以降、これまで300万人に及ぶアフガン難民が周辺国から母国に帰還するなど、大きな進展があった。これに伴い、難民・国内避難民の受け皿となる地域自体の復旧が急務であるため、日本は、緒方貞子前国連難民高等弁務官の提案に基づき、2002年8月より、複数の国際機関による難民・避難民支援及び受入地域の開発のための「地域総合開発支援計画」(緒方イニシアティブ)を開始した。2002年の第1段階、第2段階を経て、2003年3月より、同計画の第3段階を実施しており、これまでカンダハル、ジャララバード、マザリシャリフの3都市を中心とする地域において、UNHCR、国連児童基金(UNICEF)等の活動を支援した。これら支援の総額は約2億ドルに上っている。  アフリカ地域においては、近年多くの紛争が解決の兆しを見せている中、日本は、アフリカにおける「平和の定着」を促進するという観点から、アフリカ難民問題の解決に積極的に取り組んでいる。2003年には6月に東京で開催された「アフリカ難民に関する国際シンポジウム」において、アフリカの難民発生地域における開発支援へのアプローチについて集中的な議論が行われた他、9月〜10月に東京で開催された第3回アフリカ開発会議(TICADIII)においても同様の議論が行われた。日本は、「紛争予防・平和構築無償」を活用し、アンゴラにおける難民の帰還後の定着・自立に向けた再定住支援を、UNHCRを通じて実施した。