【世界が取り組むべき課題としてのアフリカ問題と国際社会の取組】 <アフリカの現状>  アフリカでは多くの国が開発への努力を続けているものの、貧困からの脱却の道のりは険しく、また、HIV/AIDS等感染症の蔓延は開発への重荷になっている。また、関係国の努力にもかかわらず紛争が長期化したり、強権的政治により混乱の度を深める国もある。HIV/AIDS等の感染症、紛争、難民、貧困といった問題は、その影響がアフリカのみには留まらない地球規模の課題であり、東部アフリカなどはテロの脅威にも直面している。これらはいずれも、国際社会が一体となって取り組むことによってはじめて解決可能な課題である。 <アフリカ自身の変容>  一方、アフリカでは、セネガル、ガーナ、ケニア等において民主的プロセスによる政権交代が行われ、また、2003年には、リベリア、コンゴ民主共和国等多くの国でアフリカ自身の手による平和の実現のための取組が加速する等、前向きな動きが進展している。また、アフリカ自らの手で策定された開発戦略であるNEPADにおいて農業、インフラなどの分野別の取組が進むとともに、AUでは平和・安全保障理事会や全アフリカ議会設立といった地域統合の動きが加速するなどアフリカ自身のオーナーシップが具体的な形で生まれている。 アフリカとミレニアム開発目標(MDGs)(*) <国際社会の取組>  これらを背景に、国際社会は特に近年、アフリカ問題への関心を高めてきた。とりわけG8プロセスにおいては、議長国であった日本の提案により2000年のG8九州・沖縄サミットにおいてアフリカ諸国を含む開発途上国首脳を招待したのをきっかけにアフリカ問題が主要議題となり、2003年6月のエビアン・サミットでは、2002年のカナナスキス・サミットで策定された「G8アフリカ行動計画(AAP)」実施の進捗状況をまとめた実施報告書が作成された。また、エビアン・サミットでの合意に基づき、2003年11月、G8、経済協力開発機構(OECD)諸国、NEPAD主要国等からなるアフリカ・パートナーシップ・フォーラムが発足し、NEPAD支援のための政治的、戦略的事項について定期的に討議していくこととなった。  開発途上国の開発問題を議論する国際会議においても、アフリカは主要議題の一つとなっている。例えば、2000年の「国連ミレニアムサミット」、また2002年の「開発資金国際会議」、「持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグ・サミット)」、さらに2003年3月に日本で開催された「第3回世界水フォーラム」などでは、アフリカ開発問題に特に焦点を当てた議論が行われた。さらに、国連安全保障理事会においても議論の半分以上がアフリカ問題にあてられている。日本はこれらの国際的取組に対し、国際社会の責任ある一員として積極的に参加、貢献してきている。また、米国、フランス、英国、EUといった主要国、国際機関とも協調しながら対アフリカ協力を進めてきている。 アフリカ開発の国際的枠組み