第6節 中東と北アフリカ 【総論】(イラクをめぐる問題については第1章で詳述)  イラク問題、中東和平問題をはじめとする多くの不安定要因を抱え、また、世界の主要なエネルギー供給地域でもある中東地域の平和と安定を確保することは、同地域のみならず日本を含む国際社会全体の平和と繁栄に直結する問題であるとの認識の下、日本は同地域における主要な問題の解決に積極的に取り組んできている。また、エネルギーの長期的な安定供給を確保するため、湾岸諸国との関係強化を図ってきている。こうした観点から、5月の小泉総理大臣の中東訪問の際には、アラブ諸国と協力したイラク人道復興支援、中東和平問題への取組、アラブ・イスラム諸国との対話の強化を柱とする中東地域の平和と安定に向けた三つの施策を打ち出した。  イラク問題は重要であることは言うまでもないが、中東和平問題は中東地域の平和と安定の鍵とも言うべき問題である。日本は、国際社会の責任ある一員として、また、宗教的、歴史的束縛から自由であるという立場を活かし、中東和平の解決に向けて積極的に取り組んできている。  アフガニスタンの安定は、地域の平和・安定と繁栄の実現に不可欠であり、また、テロの根絶・防止、麻薬対策の観点から極めて重要である。日本は引き続き同国の復興を支援し平和の定着と国造りのために積極的な貢献を行っていく考えである。  また、イランの核問題については国際原子力機関(IAEA)追加議定書の署名等の前向きな動きも見られており、日本としても引き続き同国との伝統的な友好協力関係の維持・発展を図りつつ、同国が国際社会の懸念払拭に努めるよう働きかけていく考えである。  北アフリカにおいても、スーダン和平の機運が高まり、また12月にリビアが大量破壊兵器の開発計画を廃棄するといった新たに前向きな動きが見られる中、ハイレベルの要人訪問も活発化しつつあり、北アフリカ諸国との関係が進展しつつある。  日本としては、こうした中東地域の平和と安定に向けた取組を中東諸国を含む国際社会と協調して行っていく考えであり、こうした観点から、アラブ・イスラム諸国との相互理解の深化・拡大のためにこれら諸国との対話を強化してきている。