【対外関係】  プーチン大統領は2003年も活発な首脳外交を展開した。特に、5月末のサンクトペテルブルク建都300年記念祭には、G8諸国、EU諸国、独立国家共同体(CIS)諸国、中国、インドなどの首脳を招き、その際に日本との首脳会議のほか、EU・ロシア首脳会合や米露首脳会談など一連の首脳会談を行った。  イラク問題については、米国などによるイラクへの武力行使の動きに対して、ロシアはフランス、ドイツと協力してこれに強く反対し、一時的に米国との関係が冷却化したが、その後、ロシアは関係修復に努め、6月の米露首脳会談では、イラク問題をめぐる立場の相違にもかかわらず、両国の良好な関係に影響はないことが強調された。他方、ロシアによるイランにおける原子力発電所の建設については、米国からの中止要請にもかかわらず、建設を進める姿勢を変えておらず、両国間の懸案となっている。  中国との関係では、5月に胡錦濤(こきんとう)国家主席が主席として初めて訪露して、引き続き両国間の戦略的パートナーシップの強化を確認した。また、北朝鮮の核開発問題については、当初から積極的な関与の姿勢をとっており、現在も六者会合の一員としてその存在をアピールしている。  CIS諸国との関係については、4月にCIS集団安保条約(注6)が、加盟国間の協力強化のために機構化され、統合軍司令部や事務局の設置が合意された。また、9月の首脳会議の際には、ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンの4か国による「統一経済圏」の創設につき合意され、その後創設に向けた具体的な協議が行われている。 (注6)1992年に署名、現在加盟国は6か国(ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)。