【NATO及びその他の地域機関】 <北大西洋条約機構(NATO)>  2002年11月のプラハ首脳会議において加盟が決定された中・東欧7か国は、2004年3月29日にワシントンにおいて米国務省に加入証書を寄託し正式にNATOの一員となった。同じくプラハ首脳会議において発表された軍事能力の向上を目指したプラハ能力コミットメント(PCC)を受け、10月にはNATO即応部隊(NRF)及び12月には多国籍化学生物放射線核(CBRN)防衛大隊が創設される等、NATOの変革が進んでいる。また、アフガニスタンにおいては、8月に独・蘭が指揮する国際治安支援部隊(ISAF)の総指揮権を公式に継承し、非5条任務(北大西洋条約第5条(注2)集団防衛以外の任務)において欧州の域外で行う初めての活動として注目された。イラクにおいては、9月にポーランド軍への後方支援活動を開始し間接的な関与を行っているが、12月の外相理事会においてパウエル米国務長官がイラクでもNATOがより大きな役割を果たすよう要請した。日本との関係では、2月にリッゾNATO事務次長の訪日の機会を捉え、日本とNATOとの間の高級事務レベル協議が実施される等対話による関係強化を図っている。 (注2)締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける一または二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃と見なすことに同意する。したがって、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合第五十一条の規定によって認められている個別的または集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するために必要と認められる行動(兵力の使用含む)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。  前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。 NATOの拡大 <その他の地域機関>  欧州には、EU、NATO以外にも、安全保障分野で欧州安全保障協力機構(OSCE)、また、人権や法などの分野で欧州評議会(CE)といった地域機関があり、活発な活動を展開している。  OSCEとの関係では、日本は「協力のためのパートナー」として、各種協議への参加をはじめ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、コソボ等の各種ミッションへの要員の派遣、東欧・中央アジア諸国への選挙監視団の派遣といった人的貢献や、選挙関連経費の負担等資金的貢献を行っている。12月にオランダのマーストリヒトで開催された外相理事会でも、引き続きOSCEと日本をはじめとするアジアとの協力・対話を深めていくことが重要であること並びに国際テロ対策について国際社会が同一歩調をとる必要性を改めて確認した。  欧州評議会(CE)との関係では日本は閣僚委員会のオブザーバーとして、人権、法務、文化等様々な分野の会合に積極的に参加している。2003年2月には、シーダー議員会議議長が、4月にはビルトハーバー人権裁判所長官が来日した。CEにおいては様々な分野の条約が数多く策定されているが、日本も2001年11月にサイバー犯罪条約に署名した。また2003年には受刑者移送条約に加入している。 欧州の主要国際機構