【アジア欧州会合(ASEM)】  アジア欧州会合(ASEM)は、北米とアジア、米欧関係に比べ希薄であったアジアと欧州との協力を強化するため、アジア10か国と欧州15か国(注13)及び欧州委員会が参加する地域間の対話と協力の場として1996年に設立されて以来、〔1〕政治、〔2〕経済、〔3〕社会・文化・教育その他という3つの柱の下、多岐にわたる活動を行ってきた。  2003年には、閣僚レベルにおいて、7月に第5回財務大臣会合(インドネシア・バリ島)、第5回外相会合(バリ島)、第5回経済閣僚会合(中国・大連)、10月に第2回環境大臣会合(イタリア・レッチェ)、また12月には、文化と文明に関する大臣会合(北京)が初めて開催された。 (注13)アジア10か国=日中韓、ASEANのうちブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。欧州15か国=欧州連合(EU)に加盟している15か国。 ▼ASEM外相会合に出席する新藤外務大臣政務官(7月) ASEMロゴ  日本はASEMプロセスの進展に積極的な貢献を行っている。第5回外相会合においては、朝鮮半島情勢、ミャンマー情勢等最近の地域国際情勢に関する議論に加え、日本が提案した「大量破壊兵器及びその運搬手段の拡散防止に関する政治宣言」が採択され、日本の努力が各国から高く評価された。また、第4回首脳会合(2002年9月、コペンハーゲン)での小泉総理大臣の提案に基づき、日本が開催した「多角的及び地域的経済関係に関するASEMシンポジウム」(3月、東京)及び「ASEM教育交流シンポジウム」(11月、つくば)には、それぞれ国内外より多くの専門家及び関係者等が集まり充実した意見交換が行われた。  ASEMには常設の事務局がないため、アジア、欧州双方から2か国が調整国(注14)を務め、その運営を行っており、日本は第4回首脳会合終了後から2004年10月にハノイで予定されている第5回首脳会合終了までの間、アジア側の調整国を務めている。日本はアジアの一員であるとともに欧州諸国とも基本的価値を共有していることから、アジアと欧州の橋渡し役としてASEMにおけるリーダーシップを期待されている。日本としては、各種閣僚会合や第5回首脳会合の成功に向けて積極的に活動を推進し、ASEMをより魅力ある対話の枠組みにしていくとともに、日本の対アジア外交、対欧州外交においてもASEMの枠組みを十分に活用していきたいと考えている。   (注14)アジア側調整国は、日本及びベトナム。欧州側調整国はEU議長国及び欧州委員会。