【インド・パキスタン関係】  2001年12月のインド国会襲撃事件及び2002年5月のカシミールにおけるインド陸軍駐屯地襲撃事件以降、インドとパキスタンの間には大規模な軍事的動員を伴う高い緊張関係が生じたが、国際社会の働きかけも功を奏して、危機的な状況は回避された。2003年に入っても、3月にインド側カシミールでヒンドゥー教徒虐殺事件が発生したほか、両国要人による攻撃的な発言の応酬が続くなど、両国関係は停滞していたが、4月にバジパイ・インド首相がパキスタンに友好の手を差し伸べるとして関係改善に向けた発言を行い、ジャマリ・パキスタン首相はこれを歓迎し両国関係改善への転機となった。その後、両国は具体的な措置を相次いで発表した。7月には、両国の大使が交換され、インドのデリーとパキスタンのラホールを結ぶ直行バスが1年半ぶりに運行再開した。また、11月には、両国はカシミールの管理ライン付近等での停戦に合意し、12月には、両国間の航空機乗り入れと領空通過の再開及び鉄道の再開にも合意した。さらに、2004年1月には、パキスタンで開催された南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議に際し、バジパイ・インド首相とムシャラフ・パキスタン大統領との約2年半ぶりの首脳会談が実現し、2月からの本格的な対話再開に合意した。2月、両国間の外務次官協議が開催され、5月または6月にカシミール問題等を議題とする外務次官協議、さらに8月には外相会談を開催することに合意した。  日本としては、こうしたインドとパキスタンの関係改善に向けた前向きかつ具体的な動きを歓迎し、両国の関係改善のために引き続き国際社会とともに働きかけを続ける考えである。