3 東南アジア 【総論】  東南アジアでは、1999年のカンボジア加盟によりASEAN(東南アジア諸国連合)10が実現し、東南アジア全域をほぼ包摂する地域協力が進展してきたが、なお、政治体制の脆弱さや経済格差の問題を抱えている。特に、グローバル化の急速な進展に伴い、域内の経済格差はますます深刻となっており、ASEANにとって、域内格差を是正し、ASEANの結束を確保することが重要な課題となっている。  また、グローバル化の一層の進展、地域的な経済統合への動き、日本、中国、韓国、インド等の域外国の対ASEAN外交の活発化、中国の急速な経済成長、経済力の増大等に伴う中国の軍備の近代化、テロ事件の続発など、東南アジア諸国を取り巻く環境も急速に変化している。また、ミャンマー情勢は国際社会の関心事となっている。  このような状況の下、ASEANが政治的・経済的に安定した勢力となり、東南アジアひいては東アジア全体の政治的・経済的安定に貢献するよう、日本としてはASEANとの協力をさらに一層高い次元に引き上げることが重要であるとの考えから、12月に東京で開催された日・ASEAN特別首脳会議においては、日本とASEANとの将来にわたる協力関係の指針を示す「東京宣言」と「行動計画」を発出した。  経済面では、既に締結済みのシンガポールとの経済連携協定に加え、10月、「日本国と東南アジア諸国連合との間の包括的経済連携の枠組み」に署名し、12月には、タイ、フィリピン、マレーシアとの経済連携協定交渉の開始を決定するなど、日・ASEAN包括的経済連携構想の実現に向け着実に取り組んでいる。  安全保障面では、「東京宣言」において、日・ASEAN間での安全保障分野での協力を強化していくことで合意したほか、ASEAN地域フォーラム(ARF)、ASEAN+3などを通じた多国間の枠組み及び政務・防衛当局者間(PM)協議等の二国間の取組による政治・安全保障の対話・協力にも積極的に取り組んでいる。 ▼日・ASEAN特別首脳会議に参加した各国首脳(12月 提供:内閣広報室) 日・ASEAN特別首脳会議の目的と成果 日本・ASEAN行動計画 「日・ASEAN東京宣言」