【北朝鮮内政・経済】  北朝鮮は、金正日(キムジョンイル)総書記が主に朝鮮労働党を通じて全体を支配しており、「先軍政治」と呼ばれる軍事優先政策を実施している。2003年は、核問題をめぐり国際社会との対立が深まるなかで、軍事力の強化や人民の団結を強調し、体制の引き締めを強化した。2003年は、金正日総書記の動静が北朝鮮の公式報道で長期間伝えられないことが数回あったが、これまでのところ、金正日総書記の健康などに深刻な問題があるとは見られていない。  北朝鮮は、1998年以来、思想・政治、軍事、経済の強大国である「強盛大国」の建設を標榜し、近年は経済の復興に努力している。しかし、北朝鮮の経済状況は依然として困難な状況にあり、特に電力をはじめとするエネルギー不足は深刻な状況にあると見られている。また、2003年の穀物生産量は前年を上回ったものと見られており、食糧事情も多少好転する傾向にあるとは言え、依然として食糧は不足しており海外からの支援を必要としている状況に変わりはない。  北朝鮮では、従来、中国式の改革開放政策の導入を拒否してきたが、2001年1月、金正日総書記が上海を訪問し、中国の改革開放路線が達成した経済的な成果を肯定的に評価して以来、北朝鮮でも経済管理制度の改善が進められてきた。特に、2002年7月には、配給制度を一部廃止するとともに、物価と賃金を引き上げ、為替レートも引き下げられるなど、制度の変更が行われた。また、2003年6月頃には、総合市場と呼ばれる市場が新設され、比較的自由な商取引が許容されるようになった。経済管理制度の改善措置が、今後いかなる速度で、また、いかなる範囲に広がるか注目される。 北朝鮮の経済状況