1 朝鮮半島(北朝鮮をめぐる問題については第1章で詳述) 【総論】  日本に隣接する朝鮮半島は、北東アジア地域に位置する日本にとって最も重要な地域の一つである。  韓国は、地理的に日本に最も近い国であるばかりではなく、民主主義、市場経済等の基本的価値を共有し、互いに政治、経済上、極めて重要な隣国である。近年、両国の関係は一層の深みと拡がりをみせており、将来に向けて一層強固な友好協力関係を発展させることが、日韓両国のみならず北東アジアの平和と繁栄にとって極めて重要である。  2003年も、2月に盧武鉉(ノムヒョン)大統領の就任式に小泉総理大臣が出席し、6月には、盧武鉉大統領が国賓として来日する等、両国の友好関係はさらに進展を見せた。日本としては、6月の首脳会談の際に発表された「日韓首脳共同声明」で謳われているとおり、韓国との間で、今後とも「信頼と友情を絶え間なく深化させ、両国関係を一層高いレベルへと発展させていく」方針である。  北朝鮮をめぐっては、2002年10月に北朝鮮がウラン濃縮計画の存在を認めたことに端を発し、北朝鮮の核問題が、再び、北東アジア地域のみならず国際社会全体の懸案事項となった。2003年に入り、北朝鮮は、1月に核兵器拡散防止条約(NPT)を脱退、凍結していた原子炉や使用済み核燃料の再処理施設を再稼働するなど核問題をめぐり緊張を高める行動に出た。同年8月及び2004年2月には六者会合が開催される等、関係国の間で本件の平和的解決に向けた外交努力がなされている。  また、日朝間には拉致問題という重大な懸案がある。日本としては、帰国した拉致被害者5名の家族の帰国を早期に実現させるとともに、安否不明の方々の真相を究明するなど、本件の解決に向けて、国際社会の理解と協力を得つつ、今後とも努力していく。