【メキシコ】  日本とメキシコの間では、EPA/FTAが存在しないために、日本企業が米国やEUの企業と比べて競争上の不利益を被っており(注2)、その解消のために二国間の法的な枠組みを整備することが急務となっている。  2001年から2002年にかけて開催された産学官の共同研究会(経済関係強化のための日・メキシコ共同研究会)の提言を受け、2002年10月に行われた日・メキシコ首脳会談で、経済連携強化のための協定交渉を立ち上げることを決定し、同年11月に交渉を開始し、その後、1年程度を目標にできる限り早期に交渉を実質的に終了するよう最大限の努力を払ってきた。2003年10月のフォックス大統領訪日に際しては、閣僚級による折衝を含め精力的に交渉を重ねたが、実質的な合意には至らず、両首脳により発出された日・メキシコ共同声明においては、未だ重要な問題が未解決のまま残されていることが確認された。その後も交渉を重ねた結果、2004年3月12日、両国関係閣僚間(日本側は川口外務大臣、亀井農林水産大臣及び中川経済産業大臣、メキシコ側はカナレス経済大臣、ウサビアガ農牧大臣)でテレビ会談を行い、協定の主要点について大筋合意に達したことを確認した。今後、協定の案文を確定するための作業を行い、可能な限り早期に協定を完成させることとしている。 (注2)NAFTA(1994年発効)及びEU・メキシコFTA(2000年発効)を通じて関税撤廃が進められている米国やEU諸国の企業と比べて平均16%の関税を支払う日本企業は競争上の不利益を被り、メキシコの総輸入額に占める日本からの輸入額のシェアはNAFTAが発効した1994年の6.1%から2000年の3.7%へ急減している。NAFTA締結時のシェアが維持されていた場合に比して、日本企業の輸出が年間約4,000億円分逸失しているとの推計もある。また、政府調達の面でも、メキシコの政府調達においてメキシコ及びメキシコとEPA/FTAを締結した国の企業しか入札できない案件が存在するなど、FTAの不在が日本企業に具体的な不利益を生じさせている。