【第二回六者会合に向けて】  六者会合終了後、暫くの間、核問題解決に向けた外交的な動きは停滞したが、その後、特にブッシュ米大統領による「安全の保証」に関する一連の発言を契機に、六者会合再開に向けた機運が高まった。  ブッシュ米大統領は、10月のバンコクAPEC首脳会合に先立つ同月19日、胡錦濤(こきんとう)中国国家主席と会談を行い、その際、検証可能な核計画の廃棄を前提に、六者会合の文脈において、文書による「安全の保証」を北朝鮮に対し提供する用意があるとの考えを明らかにした。また、同大統領は、翌20日の米韓首脳会談後の共同記者発表文においても「北朝鮮を攻撃する意図はない」旨明らかにした。これに対し、北朝鮮は、同月25日、ブッシュ米大統領の発言に関し「考慮する用意がある」旨の声明を発出したほか、同月末に訪朝した呉邦国(ごほうこく)全人代常務委員会委員長に対し、一定の前提条件を付しつつも、将来の六者会合に出席する用意がある旨を表明した。こうした立場は、12月25日から27日にかけ訪朝した王毅(おうき)中国外交部副部長に対しても確認された。  さらに、北朝鮮は、12月9日、外務省スポークスマン談話を発表し、〔1〕米国による「テロ支援国リスト」からの解除、〔2〕政治・経済・軍事的制裁と封鎖の撤回、〔3〕米国と周辺国による重油、電力などのエネルギー支援のような対応措置と引き替えに、核活動を「凍結」する用意がある旨表明し、同月15日には、「凍結」の対象に「平和的核動力工業」も含まれる旨労働新聞論評の形で明らかにした。  以上、米朝を含め六者関係各者より、具体的な提案がなされるなど、2003年末にかけては六者会合再開に向けた活発な外交努力が尽くされた。結局、2003年中の第二回会合開催は実現しなかったものの、翌2004年2月に第二回会合が開催される運びとなった。