2 核をめぐる問題 (1)新たな核兵器開発疑惑の高まり 【北朝鮮の核問題の経緯】  北朝鮮は、15年以上の長きにわたり、核兵器開発の疑いが持たれてきた。北朝鮮は、旧ソ連からの強い働きかけもあり、1985年に核拡散防止条約(NPT)締約国となり、その後1992年には国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定を締結した。しかし、寧辺(ヨンビョン)に所在する5メガワット黒鉛減速炉等を用いた核計画の疑惑が高まる中、1993年、IAEAによる特別査察の受入を拒否し、NPTからの脱退を宣言したことから、朝鮮半島における核問題をめぐる緊張は急激に高まった。この1993年から1994年にかけての核計画疑惑については、最終的には、カーター米元大統領の訪朝(1994年6月)を契機に、米朝間で「合意された枠組み」が取り交わされ(同年10月)、米国による北朝鮮への軽水炉及び代替エネルギーの供与、北朝鮮による核関連施設の凍結・解体、NPT遵守、保障措置協定履行という取引で、事態の収束が図られた。この合意に基づき設立されたのが朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)であり(1995年)、同機構を通じ北朝鮮に対し軽水炉(1,000メガワット級)2基及び重油(年間50万トン)を供与することとなった。このような形で、核危機は一旦収束した。