第2章 地域別に見た外交 

【ロシア内政・経済】

  <ロシアの内政>
 ロシアでは、2003年は国家院選挙の年であり、各政治勢力は同選挙に向けて様々な動きを示した。同選挙は12月に行われ、大統領支持政党である「統一ロシア」が大勝したのに対し、共産党、右派勢力同盟など野党が軒並み惨敗した。この結果、新議会では「統一ロシア」の会派が単独で全議席の3分の2以上を獲得し、圧倒的な勢力となった。
 2003年10月に発生したロシアの大手石油企業「ユコス」社のホドルコフスキー社長の逮捕については、これに関連して、エリツィン政権時代より政権内で重要な役割を担ってきたヴォローシン大統領府長官が辞任するなど政治的な影響も出た。
 内政上大きな課題であるチェチェン問題については、2003年3月に住民投票によりチェチェン共和国の新憲法が採択され、同憲法に基づいて10月には同共和国の新大統領が選出されるなどの動きがあった。今後、議会選挙など、共和国の体制造りが進められることになるが、一般市民をも巻き込むテロ事件を含め武装勢力の抵抗が相変わらず続いている状況で、紛争解決の見通しは立っていない。
 2004年2月末、大統領選挙を直前に控え、プーチン大統領はカシヤノフ首相を解任し、3月に新しくフラトコフEU代表を首相に任命するとともに、内閣改造と大幅な機構改編を行った。その後3月14日に行われた大統領選挙では、プーチン大統領が約71%の高い得票率を得て再選され、二期目のプーチン政権がスタートすることとなった。

 
ロシア連邦国家院の勢力比較

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  <ロシア経済>
 2003年のロシア経済は、主として国際石油価格が高値で推移したことを背景に、前年よりもさらに好調で、GDPは対前年比7.3%と高い成長を示した。鉱工業生産、設備投資、可処分所得など主要指標もすべて高い成長を示した。他方、インフレ率は、12%程度に収まっており、これは市場経済に向けた改革が始まって以来最低の水準である。このような経済の好調を背景にプーチン大統領は、5月の教書演説で、今後10年間でGDPの倍増や貧困の撲滅などの課題を政府に課し、積極的な経済政策を求めた。
 経済改革の面では、電力などの国営独占企業の改革のための一連の法整備など、引き続き構造改革の努力が行われた。また、重要課題であるWTOへの加盟に向けても、鋭意交渉が行われたが、2003年中に加盟するとの目標は達成できず、翌年以降に持ち越されることとなった。

 
最近のロシア経済指標

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